ZigBee

ZigBee：低消費電力無線通信規格

ZigBeeは、近距離無線通信を目的とした規格であり、特にセンサーネットワークでの利用に適しています。ミツバチのジグザグ飛行をイメージした名称からも分かるように、複数の機器が連携してネットワークを構築する仕組みが特徴です。

特徴

ZigBeeの最大の特徴は、その低消費電力性です。データ転送速度は使用する周波数帯によって異なり、2.4GHz帯では最大250Kbpsですが、消費電力は非常に少なく、乾電池駆動でも長期間の使用が可能です。そのため、バッテリー交換の手間を削減できる、省エネルギーな機器の実現に大きく貢献します。

さらに、ZigBeeは短距離無線通信を複数の機器で中継することで、広範囲の通信を可能にするメッシュネットワークを構築できます。ある機器が故障しても、他の機器を経由して通信を維持できる高い信頼性も持ち合わせています。

通信速度と周波数帯

ZigBeeのデータ転送速度は周波数帯域によって異なります。2.4GHz帯では250Kbps、902-928MHz帯では40Kbps、868-870MHz帯では20Kbpsとされています。地域によって利用可能な周波数帯が異なる場合があり、日本では2.4GHz帯のみが電波法で許可されています。日本の企業による実測値では、最高192Kbps、安定通信は144Kbps程度という報告もあります。

ネットワーク構成

ZigBeeネットワークは、以下の3種類の端末で構成されます。

ZigBee Coordinator (ZC): ネットワーク全体を制御する中心となる端末です。
ZigBee Router (ZR): データの中継を行う端末です。他の端末間の通信をサポートし、ネットワークの範囲を広げます。
ZigBee End Device (ZED): データの送受信を行う端末で、中継機能はありません。センサーやアクチュエーターなど、データの収集や制御を行うデバイスとして使用されます。

これらの端末はメッシュネットワークやツリーネットワークを構成し、柔軟なネットワーク構築を可能にします。

レイヤ構造

ZigBeeのプロトコルスタックは、以下の5つのレイヤーで構成されています。

APL層: アプリケーション層。ユーザーがアプリケーションを開発するための層です。
APS層: アプリケーションサポート層。ZigBee Allianceが規定する層で、アプリケーション層とネットワーク層の仲介を行います。様々なプリミティブ（APSDE-DATA、APSME-BINDなど）が定義されています。
NWK層: ネットワーク層。ZigBee Allianceが規定する層で、ネットワーク内のルーティングやアドレス管理を行います。NLDE-DATA、NLME-NETWORK-DISCOVERYなどのプリミティブが定義されています。
MAC層: メディアアクセス制御層。IEEE 802.15.4規格を使用します。
PHY層: 物理層。IEEE 802.15.4規格を使用します。

接続手順

ZigBeeネットワークへの接続手順は、次のようになります。

1. ZCがネットワークを形成します。
2. ZCは他のデバイスの参加を受け入れます。
3. ZRやZEDはネットワークを検出し、参加します。
4. ZRは必要に応じて中継機能を開始します。

その他

ZigBeeネットワークには、最大65,536個のデバイスを接続できます。また、ZigBee Allianceが認証した製品だけでなく、IEEE 802.15.4規格のみを利用した製品などもZigBeeとして扱われる場合があります。 日本の電波法では、ZigBee機器を使用する際には、技術基準適合証明または工事設計認証が必要です。

ZigBeeは、スマート照明（Philips Hueなど）をはじめ、さまざまなスマートホーム機器や産業用機器に利用されています。低消費電力、メッシュネットワークによる高い信頼性、そして豊富なデバイスとの互換性を活かし、今後ますます普及が期待される技術です。

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