ZiiLABS

ZiiLABSの歴史と製品ラインアップ

ZiiLABSはシンガポールに本社を置くコンピュータ周辺機器のハードウェアメーカーである。かつては3Dlabsという名称で、主にOpenGLに特化したビデオカードを製造していた。1990年代から2000年代初頭にかけて、3Dlabsはプロフェッショナル向けおよびコンシューマ向けのGPUを展開し、特にOpenGLにおいて高い評価を受けていたが、2006年にGPU市場からの撤退を決め、2009年にはZiiLABSに社名変更してからはモバイル向けのSoC（System on Chip）に専念するようになった。

3Dlabsの起源と製品展開

3Dlabsは、1990年代にプロフェッショナル向けのGLINTシリーズとコンシューマ向けのPermediaシリーズを発売した。これらの製品は特に3Dアニメーション制作などの用途で使用され、高い処理能力を誇った。しかし、DirectXの普及が進むにつれ、その対応が遅れたことで市場シェアが低下していった。特に、DirectXの新しいAPIへの対応や、ゲームプレイにおける性能面での弱さが指摘された。

Permedia2は1997年に登場し、OpenGLに対して非常に高いピクセル描画性能を持つ製品として広く評価されたが、その後のDirectX対応の遅れは目立つ問題となった。結果として、3Dlabsはコンシューマ市場での地位を失い、2002年にクリエイティブテクノロジーによって買収された。

GPU市場からの撤退

買収後、3Dlabsはクリエイティブテクノロジーの傘下でプロフェッショナルワークステーション向けの製品開発に専念することになったが、2006年にその事業から撤退する方針を表明。その後、メディアプロセッサの開発にシフトを余儀なくされた。同社は2009年にZiiLABSに改称し、主にARMプロセッサを搭載したモバイル向けSoC、特にZMSシリーズの開発に注力するようになった。

Permediaシリーズの詳細

Permediaシリーズは、その中で特に重要な製品群であった。Permediaは、OpenGLのCAD API専用のジオメトリエンジンを搭載し、後のPermedia2ではその機能をワンチップ化することで、NVIDIAなどの他社に先駆けた革新を見せた。Permedia2は、128ビットのグラフィックコアを持ち、最大8MBのSGRAMをサポートするなど、当時の技術としては先進的であった。この製品はOpenGL及びDirectXにおいて高いパフォーマンスを誇り、多くのメーカーに供給された。

Permedia3やGLINT R3も登場し、同じく高性能を誇ったものの、ドライバの非対応によってグラフィック処理の性能に限界があった。しかし、これらの製品は特定のプロフェッショナル用途においては根強い人気を持っていた。特にPermedia2は、3Dlabsがコンシューマ市場で成功を収めた唯一の製品とも評価されている。

まとめ

ZiiLABSは、かつてのGPU関連製品の開発を通じて、OpenGL市場における独自の地位を築いたが、時代の移り変わりに適応することができず、最終的にはモバイル向けSoC市場へのシフトを余儀なくされた。GPUからの撤退は、同社の歴史における転換点となり、その後の展開へと繋がることになった。今ではクリエイティブ製品への採用が主な業務となっているが、かつての3Dlabsの栄光は今もなお、技術的な評価として残り続けている。

もう一度検索