Zimbra

Zimbra Collaboration Suite (ZCS) は、アメリカのSynacor, Inc.によって開発されたWebメールシステムであり、グループウェアとしての機能も兼ね備えています。このシステムは、電子メール、カレンダー、そしてチームでの共同作業を支援するコラボレーション機能を統合的に提供します。

ZCSは、クライアント側とサーバー側の両方のコンポーネントで構成されており、ユーザーはWebブラウザを通じてアクセスするほか、専用のクライアントアプリケーションを利用することも可能です。

開発の歴史を辿ると、2004年にLiquid Systems Inc.として設立された会社が、その起源となります。その後、会社名はZimbra, Inc.に変更され、2005年9月7日にはベータ版がリリースされました。しかし、その後、複数の企業による買収を経て、オーナーが幾度となく変わるという変遷を辿りました。具体的には、2007年9月17日にYahoo!に買収された後、2010年1月12日にはVMware, Inc.へ、2013年7月にはTelligent、そして2015年8月13日には現在のSynacor, Inc.へと買収されました。このような歴史的背景を持つZCSですが、その開発と機能は、今日においても継続されています。

日本では、かつて住友商事が国内販売総代理店を務めていましたが、2013年9月には日本法人であるZimbra Japan合同会社が設立され、国内での販売とサポートを強化しています。

機能

ZCS Webクライアントは、高度なコラボレーション機能を備えたスイートであり、電子メールとグループカレンダーの管理を効率的に行えます。Ajax技術を活用することで、ツールチップ表示、ドラッグアンドドロップによる操作、右クリックメニューなど、ユーザーフレンドリーなインターフェースを提供しています。さらに、高度な検索機能や、日付に関連付けた情報の検索機能も搭載されています。Zimletと呼ばれるマッシュアップ技術を利用したオンラインドキュメント作成機能や、管理用UIも用意されており、これらはZimbra Ajax Toolkitを使用して開発されています。

また、ZCSは各機能に対してSOAP APIを提供しており、IMAPおよびPOP3サーバーとしても機能します。この柔軟性により、さまざまなLinuxディストリビューションだけでなく、macOSでも動作します。プロプライエタリなMicrosoft OutlookやApple Mail、オープンソースのEvolutionといったメールクライアントとも互換性があり、これらのアプリケーションからZCSサーバーとメール、アドレス帳、カレンダーなどの情報を同期させることができます。さらに、Nokia Eseries、BlackBerry、Windows Mobile、iPhoneなどの各種モバイル機器との双方向同期機能も提供しており、場所を選ばずに情報にアクセスし、業務を進めることが可能です。

エディション

ZCSには、以下の2つのエディションがあります。

Zimbra Collaboration Network Edition
こちらは有償の商用ソフトウェアであり、全ての機能と技術サポートが提供されます。ビジネス利用を想定した高度な機能と信頼性が求められる場合に最適です。
Zimbra Collaboration Open Source Edition
無償で利用できるオープンソース版です。一部の機能に制限がありますが、開発コミュニティによってサポートされています。技術的な知識を持つユーザーや、コストを抑えたい場合に適しています。

まとめ

Zimbra Collaboration Suiteは、その多機能性と柔軟性から、さまざまな規模の組織や個人に利用されています。オープンソース版と商用版の選択肢があるため、ユーザーのニーズに合わせて最適な導入が可能です。Webメールシステムとしての基本機能に加え、グループウェアとしてのコラボレーション機能も充実しているため、チームでの情報共有や業務効率の向上に貢献するでしょう。

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