Excite

Excite（エキサイト）の歴史：検索エンジン界の栄光と衰退

Exciteは、アメリカ合衆国を中心に世界各国でサービスを提供していた、かつては巨大な検索エンジンおよびポータルサイトでした。現在は、Ask.comなどを運営するIAC Search & Media傘下でサービスが継続されていますが、その歴史は波乱に満ちたものでした。

草創期と急成長：Yahoo!との競争

Exciteの起源は、1994年にスタンフォード大学の学生6名によって設立された、アーキテクスト・ソフトウェアという会社に遡ります。彼らは、革新的な検索技術を開発し、自動ハイパーテキスト・リンキング、サブジェクト・グルーピング、自動アブストラクティングなどの機能を備えた検索抽出ツールを開発しました。この技術を基に、Exciteサービスが開始されました。

その後、MicrosoftのMSNやNetscape Navigatorといった巨大企業の台頭に対抗するため、社名をExciteに変更。瞬く間に人気を博し、Yahoo!、Infoseek、Lycosといった当時の主要検索エンジンと肩を並べるまでに成長しました。特に、創業間もないYahoo!とは激しい競争を繰り広げ、互いにしのぎを削る関係にあったと言われています。この時代、ExciteはGoogleとの提携話を持ちかけられたものの、当時のGoogleの潜在能力を見誤り、提携を拒否するという重大な決断を下します。この決断が、Exciteの後の運命を大きく左右したとされるのは有名な話です。

栄枯盛衰：合併と買収、そしてブランドの転売

1999年には、ケーブルテレビインターネット接続の大手企業である@Homeと合併し、社名をExcite@Homeに変更しました。しかし、この合併は長くは続きませんでした。2001年に@Homeが経営破綻したことにより、Exciteブランドの検索エンジンとポータルサイトはiWon.com（後にExcite Networkに社名変更）に売却されました。

この売却に伴い、Exciteは大きな転換期を迎えます。2002年には、日本を含むアジア圏におけるExciteブランドの使用権と、日本の現地法人であるエキサイト株式会社の株式を伊藤忠商事に売却しました。これにより、Exciteは事実上日本市場から撤退することとなりました。

Ask Jeevesによる買収と現在

その後、2004年にAsk Jeeves（現在のIAC Search & Media）がExcite Networkを買収し、ExciteはAsk.comなどの検索エンジンと並行して運用されるようになりました。かつてYahoo!と競り合った巨大検索エンジンは、今ではその名を影から支える存在となりました。

Exciteの教訓：成功と失敗の両面

Exciteの歴史は、インターネット業界における成功と失敗の両面を鮮やかに示す好例と言えます。革新的な技術と戦略的な判断ミスが、企業の運命を大きく変えることを如実に示していると言えるでしょう。Googleとの提携を逃したことは、Exciteにとって大きな痛手となり、その後の凋落を招いた要因の一つとして挙げられます。この事例は、企業戦略における先見性と適切な判断の重要性を改めて認識させるものです。Exciteの栄枯盛衰は、現代のビジネスパーソンにとって貴重な教訓となっています。

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