Ask.com

Ask.comとは

Ask.comは、インターネット黎明期から存在する老舗の検索サービスであり、現在はQ&Aサイトも提供するポータルサイトです。かつてはAsk Jeeves（アスク・ジーブス）という社名で運営されていましたが、2005年以降はIAC（InterActiveCorp）というコングロマリットの傘下に入っています。

検索サービスとその変遷

検索エンジン市場は寡占化が進んでおり、Ask.comのシェアは数パーセントにとどまりますが、アメリカ合衆国ではデスクトップ検索サイトとして一定の地位を占めています。かつては独自の検索エンジンを開発し、日本市場向けにもカスタマイズして提供していましたが、2009年に日本向けのサービス（Ask.jp）を終了、2010年には検索エンジンの開発も終了しました。

その後、2011年にQ&Aサイトを開始し、独自のコンテンツを確保するとともに、IACグループの広告枠をGoogleに販売することで収益を上げています。しかし、現在でもwww.ask.jpで日本語検索を利用することが可能です。

多様な機能

英語版では、検索サイトに加えてコミュニティ型のQ&Aサイトが利用できます。検索サイトでは、ウェブ検索だけでなく、画像、ニュース、動画検索も可能です。また、地図と連携した地域情報検索（AskCity）やモバイルアプリ情報検索など、他社のサービスを独自のインターフェースで提供しています。

Q&Aサイトでは、コミュニティに質問を投稿することができ、トップページにはクイズ形式の「Question of the Day」が用意されており、Q&Aサイトへの誘導を行っています。日本語版は検索サイトのみで、ウェブ検索を行うとQ&Aサイトの検索結果も表示されます。かつては動画検索やブログ検索も提供していましたが、現在は画像検索のみに対応しています。

ツールバーとセキュリティ

Ask.comは、ウェブブラウザ用のツールバーを提供しており、他のソフトウェアのインストール時に同時にインストールされることがあります。ツールバーをインストールすると、Internet Explorerのホームページとデフォルトの検索エンジンが変更されます。この変更は、ツールバーをアンインストールしても自動的には元に戻らないため、手動で設定変更する必要があります。また、過去にはこのツールバーがマルウェアとして検出されたこともありましたが、現在は対策が講じられています。

歴史

1990年代

Ask.comは、1996年にギャレット・グルーナーらによってAsk Jeevesとして設立されました。社名は、イギリスのユーモア小説に登場する有能な執事、ジーヴスに由来します。検索エンジンは質問応答システムをベースにしており、キーワード検索だけでなく、質問文による自然語検索にも対応していました。

2000年代前半

Ask Jeevesの検索エンジンは、Teoma（テオマ）というブランド名で知られることもあります。これは、2001年に買収したTeoma社の検索エンジンに由来します。Teomaは、ページランクだけでなく、検索語の主題を理解して関連性の高いページを検索する独自のアルゴリズムを採用しており、Googleの検索結果とは異なる結果を提供する点も特徴でした。また、リアルタイム検索を実装した点も評価されました。

2000年代後半

2005年、IACがAsk Jeevesを買収し、検索業界に参入しました。Ask Jeevesの社名はIAC Search & Mediaに変更され、マスコットキャラクターのMr.Jeevesは姿を消しました。2004年から2008年頃のWeb 2.0時代には、ブログ検索エンジンや動画検索エンジンを開発し、積極的にテレビ広告を行って知名度を高めましたが、検索市場でのシェアを伸ばすことはできませんでした。2008年には親会社のIACが子会社を再編し、リストラを実施しました。その後、2011年にはQ&Aサイトを開始しました。

2010年代前半

2013年時点では、Ask.comはアメリカ合衆国で4位の検索サイトでした。利用者は月間1億人を超え、アメリカ合衆国のウェブサイトとしても上位にランクインしていました。

日本での展開

日本においては、トランスコスモスと共同で設立されたアスクジーブスジャパンが、2004年から2009年まで独自のAsk.jpを提供していました。その後、アスクドットジェーピー株式会社となり、TCI Plus株式会社を経てトランスコスモスに吸収合併されました。現在、日本語版はAsk.comがサービスを提供しています。

Ask.jpの検索エンジンはTeomaをベースに日本語向けに改良され、ブログ検索機能は独自の開発でポッドキャスト付きのブログも抽出できました。また、動画共有サービス「Askビデオ」も提供していました。

まとめ

Ask.comは、検索エンジン黎明期から存在する老舗のサービスであり、独自の技術とサービスを開発してきました。現在はQ&Aサイトに注力しつつ、検索サービスも継続しており、アメリカでは一定の存在感を示しています。

歴史的には、独自の検索アルゴリズムや多様な検索機能など、革新的な取り組みを行ってきましたが、検索市場での競争激化やGoogleの台頭によって、そのシェアは限定的となりました。しかし、Q&Aサイトの展開やモバイル分野への注力など、新たな展開を模索しています。

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