IMessage

iMessage（アイメッセージ）とは

iMessageは、Appleが開発したインスタントメッセージサービスで、Appleのプラットフォーム（iOS、iPadOS、macOS、watchOS）でのみ利用可能です。テキストメッセージだけでなく、写真、ビデオ、音声メッセージ、位置情報、ステッカーなど、様々なコンテンツをエンドツーエンドで暗号化して送受信できるのが特徴です。

概要

iMessageは、Apple製品間でメッセージをやり取りするための主要な手段の一つです。主な機能として、以下のような点が挙げられます。

エンドツーエンド暗号化: メッセージは送信者と受信者のみが解読できる形で暗号化され、第三者による傍受を防ぎます。
多様なコンテンツの送受信: テキストメッセージに加え、写真、動画、音声メッセージ、ドキュメント、位置情報、ステッカーなどを送受信できます。
* iMessage App: iOSおよびiPadOSでは、iMessage内で利用できるアプリストアがあり、様々な機能を追加できます。

iMessageは、2011年にiOS 5で初めて登場し、2012年にはmacOSにも搭載されました。

歴史

iMessageは、2011年6月6日に開催されたAppleのWWDC 2011で、スコット・フォーストールによって発表されました。同年10月12日にリリースされたiOS 5に、iMessageに対応したメッセージアプリが搭載されました。その後、2012年2月16日には、OS X（現macOS）にも対応したメッセージアプリが発表され、同年7月25日にリリースされたOS X Mountain Lionに搭載されました。

iMessageの利用は急速に拡大し、2012年10月23日には、ティム・クックCEOが、iMessageで3,000億件のメッセージが送信され、1秒間に平均28,000件のメッセージが送受信されていると発表しました。さらに、2016年2月には、1秒間に送信されるiMessageの数が20万件に達したと発表されました。

しかし、iMessageの普及に伴い、問題も発生しました。2014年5月には、Apple端末から他の端末に乗り換えた際に、iMessageのメッセージが届かないという問題が発生し、Appleが提訴される事態となりました。Appleは同年11月に対策として、iMessageの登録解除手順とオンラインツールを提供し、この訴訟は後にAppleに有利な形で却下されました。

また、2016年3月21日には、ジョンズ・ホプキンズ大学の研究者グループが、iMessageの暗号文を手に入れた攻撃者が、送信された写真や動画を解読できる可能性があることを実証する報告書を発表しました。ただし、この脆弱性はAppleによって修正されました。

2016年6月13日には、iMessageにAppを追加できる機能が発表され、会話を中断せずにコンテンツの作成や共有、ステッカーの追加、ゲーム、支払いなどが可能になりました。これにより、iMessageは単なるメッセージングツール以上のプラットフォームへと進化しました。

2020年6月22日には、macOS Big Surが発表され、メッセージエフェクトや位置情報の共有など、iOSで利用できた機能がmacOSにも搭載されました。

機能

iMessageは、Wi-Fiやモバイルデータ通信を利用して、テキスト、写真、動画、音声メッセージなどを他のiOSまたはmacOSユーザーに送信できます。また、「メッセージ」アプリの設定で、「SMSとして送信」を有効にすると、送信者がインターネットに接続していない場合にSMSとして送信されるようになります。受信者がインターネットに接続していない場合は、接続が回復するまでメッセージはサーバーに保存されます。

iMessageは、iOS 5以降を搭載したiPhone、iPad、iPod touch、またはOS X Mountain Lion以降を搭載したMacのメッセージアプリから利用できます。これらのデバイスで、メールアドレスや電話番号をiMessageに登録することで利用できます。メッセージアプリでは、送信したメッセージは青い吹き出しで右に、受信したメッセージはグレーの吹き出しで左に表示されます。iMessageは、送信確認や既読機能も備えており、メッセージの送受信状況を確認できます。

iOS 10では、メッセージにアニメーション効果を追加する「吹き出しエフェクト」や「フルスクリーンエフェクト」が導入されました。iOS 14とmacOS 11 Big Surでは、個々の会話のピン留め、特定のメッセージへの返信、メンション機能、グループ会話への画像設定などの機能が追加され、使いやすさが向上しました。

技術

iMessageのプロトコルは、Apple Push Notification Service（APN）を多用しており、デバイスごとの固有のトークンを使用して接続を認証します。メッセージは、エンドツーエンド暗号化によって保護されており、送信者と受信者以外はアクセスできません。

暗号化には、RSA1280ビット、NIST P-256、EC256ビットの鍵が使用されます。秘密鍵はデバイスに保存され、公開鍵はApple Identity Service（IDS）に送信されます。メッセージは、送信者と受信者の公開鍵から生成された128ビットの鍵で暗号化され、受信者ごとに暗号化されたメッセージが生成されます。また、メッセージが長すぎる場合や添付ファイルが含まれる場合は、iCloudにアップロードされ、その鍵はiMessageの暗号化によって送信されます。

評価

iMessageは、アメリカにおけるSMS/MMSの利用減少の一因として指摘されています。無料メッセージングサービスとして、多くのユーザーに利用されていることがその要因です。

セキュリティとプライバシー

電子フロンティア財団（EFF）は、iMessageを「Secure Messaging Scorecard」に掲載し、7点満点中5点の評価を与えました。高い評価の理由として、通信が暗号化されていること、エンドツーエンド暗号化であること、前方秘匿性があることなどが挙げられました。一方で、送信者の身元確認ができないことや、ソースコードが第三者によるレビューを受けられないことが、評価の対象外となりました。

しかし、暗号技術者であるマシュー・グリーンは、iMessageが帯域外検証のための指紋を表示しないため、中間者攻撃が発生していないことを利用者が確認できないと指摘しています。また、RSA鍵交換を使用しているため、前方秘匿性を備えていない可能性も指摘されています。

まとめ

iMessageは、Apple製品ユーザーにとって不可欠なメッセージングツールであり、その機能性やセキュリティは常に進化しています。今後も、ユーザーのニーズに応じた機能追加やセキュリティ強化が期待されます。

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