インスタントメッセージ

インスタントメッセージ（IM）は、インターネットなどのコンピュータネットワークを介して、リアルタイムなコミュニケーションを可能にするアプリケーションです。これは、専用のソフトウェアであるインスタントメッセンジャーが提供する機能の一つ、またはソフトウェア自体を指すことがあります。

概要

名前の通り、IMは「相手に即座に届くメッセージ」を意味しますが、基本的には「専用ソフトウェアを必要とするチャット」と捉えることができます。そのため、チャットと同一視されることも多く、両方の機能を備えたソフトウェアも存在します。近年のクラウドサービスの普及により、Webブラウザ上で利用できるサービスも登場し、チャットとの境界線はさらに曖昧になっています。

チャットとの主な違いは、IMが基本的に第三者の参加を許さず、プライベートな空間でメッセージ交換が行われる点です。しかし、暗号化などのセキュリティ対策が施されていない場合、盗聴や解析によって第三者に内容が漏洩するリスクも存在します。

また、過去にはDOSコマンドの「NET SEND」が、ネットワーク上のユーザー間で短いメッセージを送受信するために利用されていました。現在では、主に携帯電話メールのようなメッセージ交換や、ユーザーへの一斉通知に利用されています。

歴史

ユーザー間でのメッセージ通信という観点では、1960年代のMulticsやタイムシェアリングシステムにおけるメッセージ通知がその起源とされています。その後、1970年代のPLATOのTalkomaticやTerm-Talk、UNIXコマンドのtalkなどを経て、さまざまなチャットシステムとともに進化してきました。

1985年には、BITNETのInterchat Relay Network（BITNET Relay）が世界初のインスタントメッセージングシステムとされています。このBITNET Relayが、後のIRC（Internet Relay Chat）の着想源となりました。

商用サービスとしては、1989年に米国のオンラインサービスであるQ-Linkが、オンラインメッセージとしてIM機能を提供しました。

インターネット接続が普及し始めた1990年代中頃には、ICQなどのインスタントメッセンジャーが登場し、急速な普及とサービス競争が始まりました。

2002年にはAOLがIM関連の技術特許を取得しています。

2000年代後半からは、スマートフォンなどのスマートデバイスの普及、ソーシャルネットワーキングサービス（SNS）におけるIM機能（または類似機能）、クラウドサービスの普及に伴い、IM機能を内包したチャットサービスが増加し、新たな競争が激化しています。

関連項目

Session Initiation Protocol（SIP） - 通信プロトコルの一種
チャット - リアルタイムコミュニケーションの一種
電子掲示板 - 非同期コミュニケーションの一種

外部リンク

RFC 3860 - Common Profile for Instant Messaging (CPIM) - URIスキーム

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