IOS 6

iOS 6：改良と進化、そして批判を招いた地図アプリ

2012年9月19日、AppleはiOSのメジャーアップデートとなるiOS 6をリリースしました。iOS 5からの大幅なデザイン変更ではなく、既存アプリの機能強化や使い勝手の向上に焦点を当てたアップデートでした。約200以上の新機能が追加され、多くのユーザーから好評を得ました。しかし、同時に、標準搭載された新しい地図アプリ「Appleマップ」の精度問題が大きな批判を招くことにもなりました。

新機能と改良点

iOS 6では、様々なアプリが改良され、新機能が追加されました。

Appleマップ: Googleマップに代わるApple独自の地図アプリが搭載されました。音声案内によるターンバイターンナビゲーションや3D表示、Flyover機能などが追加されましたが、リリース当初はデータの不正確さや不完全さが問題となり、大きな批判を浴びました。
Siri: レストランの予約やアプリの起動、FacebookやTwitterへの投稿、映画のレビュー検索など、Siriの機能が大幅に強化されました。対応言語やデバイスも拡大しました。
Passbook (現Apple Wallet): 搭乗券、クーポン、ポイントカードなどを管理できるアプリが追加されました。バーコードを使ったモバイル決済も可能になりました。
Facebook統合: カレンダー、連絡先、App Store、Game CenterなどにFacebookの機能が統合され、ソーシャルメディアとの連携が強化されました。
App Store: GUIが刷新され、カードベースのアプリレイアウトが採用されました。検索アルゴリズムも改良されました。
設定アプリ: 「おやすみモード」の追加、プライバシー設定の強化、広告トラッキング制限機能などが追加されました。アプリごとのデータアクセス許可を細かく設定できるようになりました。
Podcastアプリ: ポッドキャスト専用のアプリが追加されました。ミュージックアプリから独立したことで、ポッドキャストの管理が容易になりました。
Safari: 横画面表示の対応、写真のアップロード機能、iCloudタブの追加、リーディングリストのオフライン機能強化などが行われました。
FaceTime: モバイルデータ通信でのビデオ通話がiPhone 4S以降で可能になりました。
その他: メールアプリのスワイプ更新機能、緊急地震速報への災害・避難情報の対応、共有メニューのインターフェース変更などが行われました。

問題点

iOS 6最大の課題は、Appleマップの不正確なデータでした。発売直後から、場所のずれや情報不足、誤った情報などが多数報告され、ユーザーから強い批判を受けました。Apple CEOのティム・クックは公式に謝罪し、代替マップアプリの利用を推奨しました。この問題は、当時iOSソフトウェアエンジニアリング担当副社長であったスコット・フォーストールの解任にも繋がったと言われています。

さらに、広告識別子に関するプライバシー懸念や、データ使用量の増加問題、FaceTimeの証明書期限切れ問題なども発生しました。

まとめ

iOS 6は、多くの点で改善された優れたアップデートでしたが、Appleマップの問題は大きな影を落としました。この経験は、Appleがソフトウェア開発において、機能の追加だけでなく、精度の確保やユーザー体験の向上を重視する必要があることを示す、重要な事例となりました。iOS 6は、改良と進化、そして批判という両面を備えた、Appleの歴史において重要なバージョンと言えるでしょう。

もう一度検索