Siri

Siri（シリ）とは

Siri（シリ、 SIRR-ee）は、Appleが開発したバーチャルアシスタントです。iOS、iPadOS、macOS、watchOS、tvOS、audioOS、visionOSといったAppleの主要なオペレーティングシステムに搭載されています。ユーザーはデバイスを直接操作するか、「Hey Siri（ヘイシリ）」という音声コマンドで起動できます。macOS Sonoma, iOS 17, iPadOS 17からは、英語版では「Siri」という単語での起動が可能になり、日本語版では「ねぇ、Siri」と呼びかけることで起動できます。

歴史

Siriは2007年に設立されたSiri社によって開発が始まりました。2010年にAppleに買収され、2011年10月4日にiPhone 4Sに初めて搭載されました。それ以来、Appleのオペレーティングシステムの進化とともに、Siriも常にアップデートを重ね、多くの機能が追加されてきました。

Siriはユーザーの質問に対し、インターネット上の情報やデバイスに保存された情報を基に回答します。また、デバイス内のアプリを操作したり、特定の機能を直接実行したりすることで、ユーザーの要求に応えます。継続的に使用することで、ユーザーの利用状況に合わせて適応していく学習能力も備えています。Siriという名前は、Speech Interpretation and Recognition Interface（発話解析及び認識インターフェース）の頭文字から取られています。

2017年6月には、AppleはSiriを搭載したスマートスピーカー「HomePod」を発表しました。さらに、2024年6月10日のWWDC 2024では、Apple IntelligenceとChatGPT（GPT-4o）による生成AIがSiriに搭載されることが発表されました。このアップデートは2024年秋から開始される予定で、12月11日からはmacOS Sequoia 15.2、iOS 18.2、iPadOS 18.2で米国英語のみに対応したベータ版が実装されています。

Siriの開発の背景

Siri社は、2007年12月にDag Kittlaus（CEO）、Adam Cheyer（VP Engineering）、Tom Gruber（CTO・VP Design）らによって設立されました。Siriの起源は、アメリカ[国防高等研究計画局]による、兵士を戦場で支援するための人工知能開発プロジェクトにあります。CALOプロジェクトとして知られるこの大規模な人工知能研究プロジェクトから、Dag Kittlausによって「Siri」が立ち上げられました。

その後、2010年4月28日にSiri社はAppleに買収されました。当初、SiriはBlackBerryやAndroidにも展開される予定でしたが、iOS以外のプラットフォームでの開発は全て中止されました。Appleは2006年にiPodの音声操作に関する特許を申請しており、Siri買収はその技術をさらに発展させるための戦略的な動きでした。

また、Siriの開発者であるDag KittlausとAdam Cheyerは、2016年5月に新しい音声アシスタント「Viv（ビブ）」を開発しました。しかし、Vivは2016年10月にSamsungに買収され、その後Bixbyに統合されて消滅しました。

iOSへの搭載と進化

2011年10月4日、SiriはiPhone 4Sに初めて搭載されました。このバージョンでは、リマインダー、天気予報、株価情報、テキストメッセージ、メール、カレンダー、メモ、音楽、時計、Webブラウザ、Wolfram Alpha、地図などの機能と連携しました。初期対応言語は英語（アメリカ、イギリス、オーストラリア）、ドイツ語、フランス語でしたが、2012年3月8日に日本語に対応し、その後、中国語、韓国語、イタリア語、スペイン語などにも対応しました。ただし、米国外では機能に一部制限があります。

iPhone 4SへのSiri搭載後、AppleはApp Storeから既存のSiriアプリを削除したため、iPhone 4S以前のデバイスや、第五世代以前のiPod touch、第二世代までのiPadではSiriを利用できません。

iOS 6では、メキシコのスペイン語、スイスのイタリア語、広東語などの対応言語が追加され、アプリの起動やレストランの予約も可能になりました。また、第三世代のiPadにも対応し、第五世代iPod touchにも対応が拡大しました。

iOS 7.1では、発音が滑らかになり、男性の声が追加されました。日本語の女性の声は「Kyoko（キョーコ）」から「O-ren（オーレン）」に、男性の声は「Hattori（ハットリ）」に変更されました。これらの音声は、アクセントや感情を細かく表現できるようになりました。

iOS 8.1以降では、デバイスに話しかけるだけでSiriが起動する「Hey Siri」機能が追加されました。当初は充電時にのみ利用可能でしたが、iPhone 6sとiPhone 6s Plusでは、充電されていない状態でも利用できるようになりました。

iOS 14、iPadOS 14では、Siriの画面が刷新され、会話内容の表示がデフォルトでオフになりました。また、アクセシビリティ設定により、Siriのアニメーションアイコンのみを表示することも可能になりました。iOS 14.5、iPadOS 14.5では、Siriの声の設定が「男性」「女性」から「声1」「声2」に変更されました。

iOS 15、iPadOS 15では、オフラインでもタイマー、アラーム、電話、メッセージ、アプリ起動などの機能が利用可能になりました。また、AirPods装着時に通知をSiriが読み上げる機能も追加されました。

最新の進化とApple Intelligence

2024年6月10日のWWDC 2024では、Apple IntelligenceとChatGPT（GPT-4o）による生成AIをSiriに搭載することが発表されました。この新しいSiriは、2024年12月11日にリリースされたiOS 18.2から米国英語環境でのベータ版として利用可能です。日本語への対応は2025年中の予定です。

macOSへの搭載

macOS SierraからSiriが利用可能になりました。2024年12月11日には、macOS Sequoia 15.2でApple IntelligenceとChatGPT（GPT-4o）による生成AIがSiriに搭載され、米国英語でのベータ版が提供開始されました。日本語への対応は2025年中に予定されています。

技術と研究

Siriは、SRI International Artificial Intelligence Centerの研究を基に開発されました。会話型インターフェース、人的文脈認識、サービスの代理実行が主要な技術領域です。Siriの音声認識エンジンは、ニュアンス・コミュニケーションズ社の技術を使用しています。2024年からは、Apple独自開発のパーソナルインテリジェンスシステム、Apple Intelligenceによって強化されています。

プライバシーと課題

Appleは、Siriの使用によるデータ処理はデバイス上で行われると説明していますが、会話に個人情報が含まれている場合は個人を特定できる可能性が指摘されています。英紙『ガーディアン』は、Appleの委託業者がユーザーとSiriの会話を聴取していたことを報じました。この問題を受け、Appleは謝罪し、会話の取り扱いに関するルールを改善しました。iOS 13.2以降では、Siriの使用履歴の消去や、使用状況をAppleに送信するかどうかの選択が可能になっています。

対応デバイス

Siriは以下のデバイスで利用可能です。

iPhone: iPhone 4s 以降
iPad: iPad (第3世代) 以降、iPad mini（全モデル）、iPad Air（全モデル）、iPad Pro（全モデル）
iPod touch: iPod touch (第5世代) 以降
Apple Watch: Apple Watch (第1世代) 以降、Apple Watch SE、Apple Watch Ultra
Apple TV: Apple TV (第4世代) 以降
Apple Vision Pro: Apple Vision Pro
Mac: iMac (Late 2009) 以降、iMac Pro（全モデル）、MacBook (Late 2009) 以降、MacBook Pro (Mid 2010) 以降、MacBook Air (Late 2010) 以降、Mac mini (Mid 2010) 以降、Mac Studio (2022)、Mac Pro (Mid 2010) 以降
HomePod: HomePod、HomePod mini
AirPods: AirPods、AirPods Pro、AirPods Max

対応言語

Siriは、多言語に対応しています。

外部リンク

Siri - Apple（日本）

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