Orz

orz：インターネットスラングとしての歴史と変遷

「orz」は、頭を垂れてひざまずいている人物をアルファベットで表現した、日本発祥のアスキーアートです。失望、落胆、絶望といった感情を表す際に用いられ、「がっくり」といった意味合いで広く認識されています。

起源と普及

「orz」の起源は2002年頃、日本のインターネット掲示板「TECHSIDE教えて君BBS」にまで遡ります。ケーブルカバーに関する質問のやり取りの中で、「＿|￣|○」という文字列が、ひざまずいて頭を垂れた人物に見えるという話題が生まれました。その後、この表現は他の掲示板にも広がり、「＿|￣|○」よりも簡潔なアルファベット表記である「orz」などの変種が考案され、主流となりました。

「o」が頭、「r」が腕と体、「z」が脚を表すという解釈が一般的ですが、明確な公式設定はありません。このアスキーアートの呼称も統一されておらず、様々な呼び名が存在します。

変種と類似表現

「orz」には「crz」「brz」「OTL」「Oro」「Or2」など、多くの類似表現があります。これらは全て、同じように失望や落胆を表すアスキーアートです。また、ドメイン名「.org」が立位体前屈に見えるという指摘もあり、視覚的な類似性も注目されています。

呼称

「orz」の呼称は多様性に富んでいます。初期には特に定まった名称はありませんでしたが、「失意体前屈」という呼び名が広く定着しました。これは、原型である「＿|￣|○」を表現したものです。他にも、アルファベットをそのまま読んだ「オーアールゼット」や「オーズ」、「オルズ」などの読み方、あるいは「がっかり」「ガックリ」といった意味合いの呼び方もあります。

2010年には「γ-オリザノール」の成分表記「γ-Orz」にちなみ、「オリザノール」という呼称が提案されましたが、広く普及するまでには至りませんでした。

日本国外への普及

「orz」は日本国外にも広がりを見せ、台湾、香港、中国などで使用されるようになりました。2006年には、台湾の大学入学試験の国語試験で「Orz」が問題文に含まれた例もあります。しかし、この際には「失望」ではなく「深い感謝」という意味で用いられており、出題者の誤解が指摘されました。

様々な「orz」

「orz」は基本的な形に加えて、様々なバリエーションが存在します。例えば、妊婦を表す「oQz」、リーゼントヘアのキャラクターを表す「prz」、右向き膝上げ型、勃起している男性を表すものなど、表現の幅は多岐にわたります。さらに、複数の「orz」を組み合わせた複合型や、広範囲に広がる拡散型など、視覚的な表現も多様化しています。

関連作品

「orz」は、ゲームやアニメなどの作品にも登場しています。例えば、PlayStation Portable用ゲーム『勇者のくせになまいきだor2』では、タイトルに「or2」のバリエーションが使われています。また、台湾映画『Orz Boyz! 囧男孩』や、漫画『orz』（諫山創）、アニメ『アクエリオンEVOL』などでも「orz」が使用されています。

まとめ

「orz」は、シンプルな表現でありながら、多様な意味合いとバリエーションを持つ、独特のインターネットスラングです。その起源から普及、変種、そして関連作品まで、様々な側面から見ていくことで、インターネット文化の一端を垣間見ることができます。かつては頻繁に使用されていましたが、近年では使用頻度は減少傾向にあります。しかし、その独特の表現方法は、インターネット文化の歴史において重要な位置を占めていると言えるでしょう。

もう一度検索