いないいないばあ

「いないいないばあ」は、赤ちゃんをあやす際によく用いられる言葉と動作の組み合わせです。一般的には、大人が自分の顔を両手で覆い隠しながら「いないいない」と声を発し、その後「ばあ」と言いながら手を顔から離し、赤ちゃんに顔を見せるという一連の動作を指します。この遊びは、文化圏によって多少の違いが見られ、例えば英語圏では「Peekaboo（ピーカブー）」と呼ばれ、顔を隠した後に「ピーカブー！」と言うのが一般的です。

発達心理学的な観点から見ると、「いないいないばあ」を赤ちゃんが楽しむようになるのは、個人差はあるものの、自我が芽生え始め、自己と他者の区別がつくようになる生後6ヶ月頃からとされています。この時期の赤ちゃんは、「いないいない」という一時的な分離と、「ばあ」という再会を認識し、その予期と一致に喜びや興奮を覚えます。赤ちゃんにとって、人の顔は存在の象徴であり、顔が隠れると本当にその人が消えたように感じると考えられています。これは、幼児が人物を描く際に顔を大きく、体を小さく描くことからも理解できます。

さらに、赤ちゃんは成長とともに、自分から「いないいないばあ」のような行動を大人に対して行うようになることがあります。これは、満1歳頃に見られることが多い行動で、大人の行動を真似ていると解釈することもできますが、より正確には、赤ちゃん自身が自分の行動によって、大人の存在が一時的に隠れ、再び現れるという状況を作り出せることを発見した結果と考えられます。つまり、赤ちゃんが大人をあやそうとしているのではなく、自身の行動が周囲の状況に影響を与えることを認識し始めた証拠と言えるでしょう。

関連する概念としては、喃語（赤ちゃんが発する言葉にならない音）や子育て一般が挙げられます。また、NHK教育テレビジョンで放送されている幼児向け番組「いないいないばあっ！」は、この遊びの名前を冠しており、多くの子供たちに親しまれています。

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