かんなみ新地

かんなみ新地の歴史と廃業

概要

かんなみ新地（かんなみしんち）は兵庫県尼崎市の神田南通3丁目に位置していた風俗街です。古くから「かんなみ街」として知られ、1950年代から2021年11月まで営業を続けていました。この地域は、かつての映画館「パーク座」に由来する名称を持ち、敷地面積680平方メートルに2棟の長屋が建っていました。その中には30店を超える性風俗店があったとされ、店舗は飲食店の形態を取り、その実態は「ちょんの間」と呼ばれる形式でした。

廃業の経緯

2021年11月1日、尼崎市及び兵庫県警の連名により、かんなみ新地の全店舗に対し、警告が発せられました。警告の内容は、風営法に基づく違法営業の中止を求めるもので、これを受けて各店舗は一斉に閉店しました。その後、11月中旬には、店舗内の備品が粗大ごみに廃棄され、かんなみ新地組合も解散しました。約70年間にわたるこの地区の歴史は、こうして幕を閉じたのです。

この廃業に至った理由としては、最近のSNSや動画サイトでの露出により、地域の現状が広く知られるようになったことが挙げられます。また、尼崎市が掲げていた都市整備や暴力団排除の方針に反する存在であったことも背景にあります。さらには、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言中に営業を再開したことが近隣住民からの苦情を招き、決定的な要因となりました。

廃業後の動向

廃業後、基本的には多くの店舗が閉店しましたが、一部の店舗は合法的な飲食店として営業を続けていると伝えられています。2022年5月には、尼崎市が跡地を取得し、その土地と建物の解体を進める方針を明らかにしました。市は、安全面や過去の摘発状況を考慮し、これ以上の復活を阻止するための対策が必要だと判断しました。

しかし、その後、権利関係の複雑さから、買収計画が難航しているとの報道がありました。それでも2023年には買収計画が前進し、地権者の8割が売却に同意したとの情報もあります。市は、2024年1月から一部区画の解体を開始する予定で、さらに一部の区画については企業向けに無償貸与する方針も発表しました。

従業員の動向

かんなみ新地の廃業後、従業員の多くは近隣の松島新地など、同様の業態の店舗に移ったと言われています。このように、地域の変遷とともに、従業員の移動も見られるようです。

治安の変化

閉業後、周辺地域の治安に関する議論が起こりました。ネットの記事では治安が悪化したと指摘されましたが、尼崎市は犯罪件数が減少していると反論コメントを発表しました。このような意見の対立は、長年にわたる地域の文化と風俗の歴史の中で、さまざまな側面を映し出しています。

まとめ

かんなみ新地の廃業は、地域にとって大きな変化をもたらしました。70年にわたって存在したこの風俗街の歴史は、単なる営業の終焉だけでなく、地域社会における治安や文化、経済に関する新たな議論を呼び起こしています。

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