さよならの向う側

『さよならの向う側』

『さよならの向う側』は、1980年8月21日にリリースされた山口百恵の31枚目のシングルであり、彼女の音楽キャリアの最終章を飾る重要な曲です。この楽曲は、同年10月15日に開催されたホリプロ20周年記念式典をもって、彼女が芸能界から完全に引退する際の最後のメッセージとなりました。

背景

このシングルのジャケットには、百恵自身の筆跡によるタイトルが採用されています。特徴的なのは、曲の長さが6分を超えるスロー・バラードであることです。7インチのレコードであるにも関わらず、収録時間の長さから、音質に影響を及ぼす可能性があるため、慎重に扱うことが求められるという注意書きがジャケット裏面に記されていました。また、「音質が幾分低下するため、聴く際にはボリュームを上げてお楽しみください」といった工夫も見られました。

歌詞には星の寿命に言及される部分があり、光年について誤解が生じやすい表現が含まれていますが、究極的には星の寿命に関する詩的表現として受け取ることができます。

109月25日には、TBSの『ザ・ベストテン』に出演し、百恵はこの曲をフルコーラスで披露しました。この番組への出演が彼女にとっての最後の姿となり、続く10月5日の日本武道館でのファイナルコンサートでは、感情を込めてこの曲を歌い上げた際、涙を流しながら舞台を去っていく姿が印象的でした。

引退を発表した後も、10月6日に放送されたフジテレビの『夜のヒットスタジオ』特番や、10月13日の日本テレビのスペシャル番組でも同楽曲を歌い、ファンへの感謝を伝えました。実質的に、これが彼女の最後の生放送出演となりました。

また、山口百恵の結婚式の当日である11月19日には、シングル「一恵」がリリースされましたが、『さよならの向う側』こそがファンへの別れのメッセージとされています。

受容と影響

『さよならの向う側』は、リリース後も多くのアーティストによってカバーされています。1994年には作曲者の宇崎竜童が自身のアルバムに収録し、その後も鈴木トオルや中西圭三など、さまざまな歌手がこの楽曲に触れています。さらに、2017年には彼女の息子である三浦祐太朗が母のカバーアルバムに収録し、引退から37年の時を経てこの曲を披露しました。

収録情報

このシングルはディスコグラフィーにおいて重要な位置を占め、いくつかの形式で再リリースされています。1980年8月21日にシングル・レコードとしてリリースされた後、1989年には8cmCDとしてリリースされ、2004年にはオリジナル・カラオケが収録された盤も登場しました。さらに、多くのベストアルバムに収録され、彼女の音楽の中で不朽の名曲として親しまれています。

『さよならの向う側』は、百恵の音楽的遺産の中で特に象徴的な楽曲であり、歌い継がれることによって新たな世代にもその感動が伝わっています。

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