ざこば

雑魚場（ざこば）について

雑魚場は、主に小型の魚や一般的な魚類を扱う市場を指します。特に狭義では、大阪市にかつて存在した雑喉場魚市場（ざこばうおいちば）を指し、1920年代までその役割を果たしていました。ここでは雑喉場魚市場の歴史や、その影響を探ります。

起源と発展

雑喉場の起源は、豊臣政権下の大阪にまで遡ることができます。当初、魚商人たちは天満鳴尾町（現在の北区天神西町）に集まっていましたが、船場の開発が進むにつれ、彼らは靱町や天満町へと移転しました。その結果、1618年には生魚商17軒が南へ移り、上魚屋町が形成されました。しかし、この地は魚荷の集散や保管に不便で、特に夏の暑さによって生魚が傷む危険がありました。

これを解決するため、商人たちは漁船のアクセスが便利な百間堀川の上流に出店し、取引を行う荷揚場を設けました。この出店は、毎年4月から8月まで続き、その他の期間は本店に戻って取引を行いました。これにより、雑喉場は次第に多くの商人に知られるようになり、活気を帯びていきました。

名称の変遷

当初は「鷺島」と呼ばれていましたが、次第に「雑喉場」という名前が広まったのは、地元の雑魚の商いが多かったからです。この立地は、安治川と木津川の分流点に近く、魚荷の輸送がとても効率的であったため、多くの商人が本店を上魚屋町から雑喉場へと移しました。この流れは、雑喉場の活性化につながり、商業活動がさらに発展しました。

また、靱町と天満町に残っていた塩干魚商たちも同じ問題を抱えており、1622年には下船場へと移転し、新たな魚市場が形成されました。このことが、雑喉場内の商取引にも影響を及ぼしました。雑喉場では、1720年には問屋が50軒にまで成長し、さらに1772年には84軒に達しました。

競争と訴訟

雑喉場は生魚と塩魚の両方を扱っており、靱町の商人たちとの競争が生じました。1781年、活動範囲を巡る訴訟が続発し、その結果、雑喉場は生魚を専門に扱うこととなり、靱町は塩魚および乾燥イワシに特化することになりました。このような競争は、両市場の健全な発展に寄与しました。

時代の変化と雑喉場の終焉

雑喉場の活況の中、朝、昼、夕の1日に3回市場が開かれ、九州、四国、中国、近畿地域など様々な地域の魚荷が取引されていました。幕末になると、天満の魚市場も復活しましたが、雑喉場は1931年まで主な生魚市場としてその地位を保持しました。

その後、大阪市中央卸売市場の開設に伴い、雑喉場は役目を終えました。しかし、江戸時代からの町名として「雑喉場町」は存在し、1872年には新たに区分けされました。現在の地域には、雑喉場魚市場跡を示す碑が立てられ、その歴史を今に伝えています。

雑喉場の存在は、大阪の海産物流通の歴史において重要な役割を果たし、今日の食文化や商業の基盤を築く一助となりました。

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