ちょっとまってて

『ちょっとまってて』は、人気漫画『名探偵コナン』の作者として知られる青山剛昌氏が、そのキャリアの初期に手がけたデビュー漫画作品です。1986年に小学館新人コミック大賞に入選し、翌1987年に週刊少年サンデーの3・4合併号に掲載されました。この作品は、少年サンデーコミックス『青山剛昌短編集』にも収録されており、彼の初期の才能が光る一作として、多くのファンに親しまれています。

物語の主人公は、高校1年生にして天才的な発明家である高井豊。彼は中学時代から付き合っている2歳年上の恋人、阿部麻巳子との関係に、ある種のコンプレックスを抱いていました。自分が彼女よりも年下であるという事実が、時折、高井の心に影を落とすのです。そんな中、高井はタイムマシンを発明し、麻巳子と同い年になるために過去へタイムスリップすることを計画します。

しかし、計画は思わぬ方向に進みます。タイムマシンを誤って使用したのは麻巳子だったのです。彼女は、現在から姿を消してしまいます。高井は、麻巳子が過去へタイムスリップしてしまったと考えますが、周囲の人々の記憶から麻巳子の存在が薄れていることに気づきます。そして、麻巳子が過去ではなく未来、それも2年後の未来へタイムスリップしてしまったという事実に辿り着くのです。時間が経つにつれ、自分自身も麻巳子のことを忘れてしまうのではないかという焦燥感に駆られた高井は、麻巳子の記憶を失わないために、さまざまな対策を講じることになります。

この作品は、時間旅行というSF的な設定を背景に、主人公の恋愛感情と記憶の喪失に対する恐怖を巧みに描いています。青山剛昌氏の、後の大ヒット作である『名探偵コナン』とは異なる作風でありながら、その才能の片鱗を十分に感じることができるでしょう。

『ちょっとまってて』は、1999年3月17日にOVA化もされています。このOVAでは、主要キャラクターを『名探偵コナン』のレギュラー声優陣が担当しており、声優ファンにとっても見逃せない作品となっています。高井豊役を山口勝平氏、阿部麻巳子役を高山みなみ氏が演じている他、岩居由希子氏、茶風林氏など、お馴染みの声優陣が脇を固めています。このOVAは、『青山剛昌短編集』の一作品として制作され、原作の持つ魅力を最大限に引き出した映像作品として、多くの視聴者を魅了しました。

キャスト

高井豊：山口勝平
阿部麻巳子：高山みなみ
友里：岩居由希子
若林先生：茶風林
神崎：中村大樹
阿部美佐子：斎賀みつき
校長：中嶋聡彦
レポーター：難波圭一
カメラマン：室園丈裕
女生徒：榎本充希子、荒木香恵、引田有美
男子生徒：巻島直樹
おばあさん：水原リン

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