なにがなんだかわからない

『なにがなんだかわからない』：トムとジェリーの珍騒動

1957年4月20日公開の『トムとジェリー』シリーズ、『なにがなんだかわからない』は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラの手による、初期作品のひとつです。本作では、おなじみのトムとジェリーに加え、トムのいとこであるジョージが登場し、物語に新たなスパイスを加えています。

物語は、トムのもとに届いた手紙から始まります。差出人はトムのいとこ、ジョージ。手紙には、ジョージがトムの家に来るという知らせが記されていました。しかし、ジョージには重大な秘密がありました。彼は重度のネズミ恐怖症だったのです。

トムは、ジョージの来訪に備え、ジェリーの巣穴を塞ぎます。そして、ついにジョージはトムの家にやってきます。ジョージはトムと瓜二つですが、その性格は正反対。ネズミ恐怖症ゆえ、極度の臆病者なのです。

一方、ジョージの到着を知らぬジェリーは、塞がれた巣穴を抜け出し、いつものように台所の食べ物を物色しようとします。そこでジェリーは、トムそっくりのジョージと遭遇します。ジェリーは驚き、身を潜めますが、ジョージは悲鳴を上げて逃げ出します。

ジェリーは、この奇妙な「トム」の行動を面白がり、さんざんジョージを脅かして楽しませます。しかし、ジョージと入れ違いにトムが戻ってくると、今度はトムにいたずらされ、トムに反撃されてしまいます。

ジェリーは、トムとジョージの交互の登場に混乱し始めます。やがてトムは、ジェリーを追い出すための作戦を思いつきます。それは、ジョージに協力を求めることでした。

トムとジョージは、交互にジェリーの前に姿を現し、ジェリーを脅かします。トムはジョージのように臆病なふりをし、ジェリーを誘い込み、ジョージはトムの背後から腕をちらつかせてジェリーを脅すのです。

そして、クライマックス。ジョージは、臆病ながらもトムと同じ怖い表情を作り、トムと合体します。2つの頭と4本の腕と脚を持つ「化け猫」と化した二人は、ジェリーの前に立ちはだかります。

この異様な光景にパニックになったジェリーは、家から飛び出し、「ネズミのノイローゼ療養所」へと逃げ込んでいきます。ジョージがトムのいとこであることに気づかぬまま、ジェリーは敗北を喫するのです。

この作品は、トムがジェリーに完勝する数少ない作品のひとつです。多くのトムとジェリーの物語では、ジェリーが序盤で優勢に立ち回りながらも、最終的にトムが逆転勝利する展開が一般的ですが、本作では最初から最後までトムが優勢であり、非常に珍しい展開となっています。

ジェリーがジョージを驚かす際に発する「Aboo!」という擬音語は、驚きや恐怖を表す効果音として用いられています。また、本作では、オープニングテーマ曲が刷新された点も注目すべきでしょう。

登場人物たちは、それぞれ個性豊かに描かれています。トムは、いとこジョージと協力してジェリーを追い出すことに成功し、ジェリーはトムとジョージの策略に翻弄され、最後は家を飛び出します。ジョージは、ネズミ恐怖症の臆病者ながらも、最後はトムと協力してジェリーを追い出すという意外な活躍を見せます。

『なにがなんだかわからない』は、トムとジェリーの定番の追いかけっことは一味違った、ユニークな展開と意外な結末が魅力の作品です。トムとジェリー、そしてジョージの織りなす珍騒動を、ぜひお楽しみください。

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