にいがた総おどり

にいがた総おどりとは

にいがた総おどりは、新潟県新潟市で毎年9月中旬に行われる、県内で最も大規模な踊りの祭りです。このイベントは、全国から集まる約220の踊り団体が参加し、総勢15,000名以上の踊り子が一堂に会し、観客動員数は延べ42万人を超えることもあります。開催は3日間にわたり、地域の人々と訪れる観光客が一体となって盛り上がる、まさに新潟の秋の風物詩となっています。

歴史的背景

新潟の地はかつて「船江の里」と名乗っていました。その地域には300年ほど前から、庶民が五穀豊穣と無病息災を祈るための祭りが存在していました。この祭りは、家計に困窮した人々が多くの困難を乗り越えるため、三日三晩にわたって踊り明かしたことが伝えられています。当時の様子は、新潟奉行によって描かれた「蜑の手振り」絵巻物として残されています。この絵巻には、町の橋の上で小足駄を履き、樽砧のリズムに合わせて自由に踊る庶民の姿が映し出されています。

ところが、明治時代に入ると祭りは祭禁止令により消滅してしまいました。しかし、2002年に新潟商工会議所や若者たちが中心となり、この伝統的な踊り祭を復活させるために「にいがた総おどり」を立ち上げました。現代のにいがた総おどりは、多様なジャンルの踊り団体が参加し、それぞれが願いや祈りを込めて自由にアレンジした踊りを披露する、華やかで創造的な祭典となっています。

蜑の手振り

「蜑の手振り」は初代新潟奉行・川村修就が描かせた絵巻物であり、6種類の絵が収められています。その中でも特に注目されるのが、当時の新潟の人々が自由に仮装し、小足駄を履いて踊っている様子です。江戸後期の1843年から1852年にかけて川村修就が奉行を務めていたため、この絵が描かれた時期と、300年前の実際の光景とには完全には一致しない点に留意が必要です。

参加者のルール

にいがた総おどりの大きな特徴の一つに、参加者には「心を込めて踊ること」という単純明快なルールが設けられています。特定の民謡のアレンジや参加団体の人数、演舞形式に関する制約は一切ありません。これにより、誰でもが自身の表現を楽しみながら参加できる自由な祭りが実現しています。

下駄総踊り

2005年に初めて発表された「下駄総踊り」は、特に人気を集めている踊りの一つです。踊り手は小足駄を履き、樽砧のリズムに合わせて自由に踊ります。この踊りの特徴は、個人での参加が中心であるため、飛び入りでの参加も大歓迎です。多くの参加者が、それぞれのスタイルを持ち寄り、ともに踊りを楽しむ姿が印象的です。

小足駄について

小足駄は一般的な二枚歯の下駄とは異なり、堅木を溝にはめ込むことで作られるため「差し歯」とも呼ばれます。雨用の高歯や中歯、晴天用の日和下駄など様々な種類が存在します。新潟は雪や雨が多い地域性から、高い歯の小足駄が好まれていました。さらに、下駄総踊り用に特別设计された小足駄は、40の工程を経て精緻に作られ、踊りの激しさにも耐えられるものであるため、現在では全国に数人しかいない職人が手掛けています。

まとめ

にいがた総おどりは、地域の伝統文化を受け継ぎながらも現代に蘇った躍動感あふれる祭典です。古き良き時代の祭りの精神を生かし、参加者が心を一つにして踊り、自身の表現を楽しめるこのイベントは、地域の人々や観光客にとっての重要な文化的行事となっています。新潟を訪れる際には、ぜひともこの華やかな祭りに足を運んでみてください。

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