ネコパンチ

ネコパンチ - 日経賞制覇のシンデレラストーリーとその後

2006年3月28日生まれの競走馬、ネコパンチ。その名は、馬主の桐谷茂氏がテレビ番組で見た、猫が猫パンチで蛇を仕留めるシーンに由来する、印象的なものだ。デビューは2008年7月、函館競馬場での2歳新馬戦。5着という結果で幕を開けた競走生活は、順風満帆とは程遠かった。初勝利を飾るまでには時間を要し、その後も安定した成績とは言い難い時期が続いた。

3歳時には早苗賞に出走するも、思うような結果を残せず休養に入る。2010年に復帰すると、地道な努力を重ね、500万下条件戦で2勝目を挙げる。1000万条件クラスへの挑戦も経験し、着実に力をつけていく。転厩を経て、2011年には潮来特別で3勝目を挙げ、準オープン入りを果たす。さらに、みなみ北海道ステークスではオープン馬を相手に勝利し、オープン入りを果たす快挙を成し遂げた。

しかし、重賞競走への挑戦は容易ではなかった。京都大賞典、アルゼンチン共和国杯、ステイヤーズステークスなどに出走するも、思うような結果を残すことができず苦戦が続いた。2012年に入り、万葉ステークス、ダイヤモンドステークスと二桁着順に終わるなど、苦境が続いた。

そんな中、迎えたのが日経賞。12番人気と低評価だったが、江田照男騎手の大胆な逃げ作戦が功を奏した。4コーナーを回ってもリードを広げ、後続を寄せ付けず逃げ切り勝ち。スタンドは沸き上がり、ネコパンチの鮮やかな勝利は、関係者のみならず多くの競馬ファンを驚かせた。

日経賞優勝後、天皇賞（春）への出走が検討されたものの、左前脚の不安により回避を余儀なくされた。宝塚記念にも出走したが、最下位に終わった。その後は、蹄の故障により、札幌記念を回避。2012年中は出走することなく、翌2013年のアメリカジョッキークラブカップで復帰するも、再び苦戦を強いられた。障害競走への転向も検討されたが、水壕障害を怖がるため断念。福島記念が最後のレースとなり、2013年11月20日付で競走馬登録を抹消された。

競走馬としての華々しい経歴、そして苦悩の日々を経て、ネコパンチは引退。東京競馬場で乗馬となり、去勢手術を受けた後、誘導馬として第二の人生を歩み始めた。誘導馬引退後は、功労馬としてノーザンレイクに入厩し、余生を穏やかに過ごしている。日経賞での圧勝劇は、競馬ファンに長く記憶されるだろう。その輝かしい勝利と、その後の苦難、そして穏やかな余生は、多くの競馬ファンに感動を与え続ける、忘れがたい物語となっている。

ネコパンチの競走成績は、JBISサーチ、netkeiba.comなどで確認できる。血統表などの詳細は、これらのサイトを参照されたい。

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