はらこ飯

はらこ飯 (はらこめし)

はらこ飯は、宮城県亘理町を中心とした郷土料理で、鮭とイクラを使用した特色ある炊き込みご飯です。その特徴は、醤油や味醂を使った煮汁で炊き込んだご飯の上に、鮭の身とイクラを乗せることです。特に、食べる際に鮭のあら汁を添えることが一般的で、見た目にも美しい一皿に仕上げられます。

名称と地域差

「はらこ飯」という名前は、鮭の卵であるイクラと、鮭の腹部に位置する卵を指す「はらのこ」、または「はらこ」からきているとされています。亘理町では、鮭を煮込んだ煮汁で炊いたご飯は茶色であり、これがこの料理の特長です。対して、気仙沼周辺や岩手県、新潟県のはらこ飯は、通常の白米を用いることが多いので、色合いが異なります。

他の呼称

また、鮭を煮ることなく刺身のままご飯に乗せ、イクラを添えたスタイルは「鮭いくら丼」と呼ばれます。寿司飯を使う場合には、ちらし寿司の一種として別の名称で呼ばれることもあります。

誕生の背景

この料理の起源は、阿武隈川の河口付近で盛んに行われていた鮭の地引網漁にまで遡るとされています。漁師たちが大漁の際に振る舞ったのが、はらこ飯だと言われています。江戸時代には、領主の伊達政宗がこの地を訪れた際、地元の漁師からはらこ飯が献上されたという逸話も残っています。

作り方

はらこ飯を作る工程は、まず鮭の切り身と筋子に分け、筋子をほぐしてイクラを作ります。次に、鮭の切り身を醤油や日本酒、砂糖などの割り下で煮込み、残った煮汁を薄めたものを使ってご飯を炊きます。最後に、器に盛ったご飯の上に鮭とイクラを配置して完成です。この際、鮭をほぐしてご飯と混ぜ合わせることが多く、イクラの盛り方についても各家庭での違いが見られます。

専門店では、鮭のはらわたやなまぐささを取り除くために軽く湯がいて供されることが一般的です。近年、テレビやメディアで紹介されることでその名は全国的に広まり、多くの人々に知られるようになりました。

季節ごとの魅力

はらこ飯の旬は秋ですが、亘理地方では他の季節にもホッキめし（冬）、しゃこめし（春）、アサリめし（夏）といった料理が提供されるため、様々な味わいが楽しめます。

駅弁としての人気

はらこ飯は、JR東日本の仙台駅や盛岡駅などでは駅弁としても販売されており、特に盛岡駅では東北新幹線の利用客に人気のある食事となっています。かつては、上野駅での急行列車の停車時に買い求める乗客が多く、売り切れになることも珍しくありませんでした。駅弁としてのはらこ飯は、その便利さと美味しさから旅行や出張の際に重宝され続けています。

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