ヒラギノ

ヒラギノフォントの概要

ヒラギノ（Hiragino）は、日本の書体ファミリーで、1993年に大日本スクリーン製造によってプロフェッショナル向けのデジタルフォントとして販売が開始されました。このフォントは、字游工房によってデザインされており、特にAppleのmacOS、iOS、iPadOSに標準で搭載されている日本語フォントとして広く使用されています。

書体の多様性

ヒラギノフォントは、明朝体、角ゴシック体、丸ゴシック体、行書体、仮名専用書体、さらには簡体字と繁体字の中国語版角ゴシック体など、多彩なスタイルを有しています。ヒラギノという名前は、「柊野」という京都の地名に由来しています。

設立の背景

字游工房は、1989年に鈴木勉を中心に設立されました。彼らの目的は、プロ用の本文書体を作成することでした。1990年、大日本スクリーンがフォントの共同開発の提案を受け入れ、両者は協力して明朝体やゴシック体などの書体の設計を開始しました。彼らは、「若々しい」「さわやか」「クリア」といったイメージを持つ書体を目指し、市場での独自性を意識しました。

大日本スクリーンの強い希望には、長期間使用される本格的で競争力のある書体の開発がありました。宣伝にあたっては鈴木勉の名を前面に出すことを望まれましたが、彼はこれを辞退し、字游工房名義での展開となりました。

ヒラギノショック

ヒラギノが完成した際、Mac OS Xの標準搭載が決まり、5万字の新たな文字の制作が求められました。この作業は非常に困難であり、鳥海修はこれを「ヒラギノショック」と振り返っています。2000年2月16日、Mac OS Xへの採用が発表され、その姿がスティーブ・ジョブズによって巨額の注目を浴びました。これにより、DTP業界では書体の基準が大きく変わる可能性が示されました。

権利移転と制作委託

2019年には、ヒラギノの権利はSCREENグラフィックソリューションズに移り、字游工房に在籍していた岡澤慶秀が代表を務める「合同会社おりぜ」に文字制作を委託する契約が結ばれました。

千都フォントライブラリー

大日本スクリーンは、京都の文化を反映させたフォントのコレクションとして「千都フォントライブラリー」を立ち上げました。ヒラギノフォントのほかに、他のデザイン書体も含まれています。近年は「ヒラギノ」という名称が前面に押し出され、フォントの利便性が増しています。

流通形態と購入方法

ヒラギノフォントは、現在macOSやWindows NT系対応のOpenType形式で提供されており、ダウンロード販売が主流です。一方、パッケージ販売は2020年に終了しました。利用するには買い切りの形式、またはMORISAWA PASSPORTという年間ライセンス契約が必要です。

充実した書体コレクション

ヒラギノフォントには、各種書体が存在し、それぞれに異なるウエイトが設計されています。特にヒラギノ明朝体と角ゴシック体は定評があり、それぞれ7ウエイトと10ウエイトが用意されています。これにより、様々なデザインニーズに対応できるようになっています。

ヒラギノフォントはそのデザインと機能性から、国内外において高い評価を受け、日々の印刷・デジタルメディアに広く活用されています。

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