ゆっくりしていってね!!!

ゆっくりしていってね!!!：インターネット文化を彩る人気キャラクター

「ゆっくりしていってね!!!」は、インターネット、特に2ちゃんねるなどの電子掲示板で広く親しまれているフレーズであり、同時にそのフレーズを歓迎の意で表現するアスキーアートキャラクターでもあります。東方Projectの博麗霊夢と霧雨魔理沙の頭部をデフォルメした、愛らしいデザインが特徴です。

キャラクターの起源と広がり

正確な起源は不明ですが、東方Projectの二次創作コミュニティにおいて、あるグラフィックデザイナーが2ちゃんねるに投稿したアスキーアートがその始まりと言われています。2007年末から2008年初頭にかけて、ゲーム関連スレやニュース速報板などで急速に広まり、人気を獲得しました。

その後、イラストレーター「まそ」によるイラスト化が大きな転換点となりました。「2ch全AAイラスト化計画」というウェブサイトで公開されたイラストは瞬く間に拡散され、2ちゃんねるだけでなく、ふたば☆ちゃんねるなどでも流行しました。「まそ」は後に2ちゃんねるのトップページイラストを手掛けるようになり、「ゆっくり霊夢」「ゆっくり魔理沙」はモナーややる夫といった他の有名AAキャラクターと共に広く認知される存在となりました。

「ゆっくりしていってね!!!」というフレーズ自体もインターネットスラングとして定着し、2008年度のネット流行語大賞銅賞を受賞するなど、その人気は社会現象にもなりました。

ゆっくりボイスと動画文化

動画投稿サイトにおいて、「ゆっくり」キャラクターは「ゆっくりボイス」と呼ばれる独特の音声と共に使用されることが多くなりました。「ゆっくり実況」「ゆっくり茶番劇」「ゆっくり解説」といった動画ジャンルが生まれ、これらは多くの視聴者から親しまれるコンテンツとなっています。

この「ゆっくりボイス」は、アクエスト社の音声合成ライブラリ「AquesTalk」を基にしており、特に旧バージョンの平坦な音声の雰囲気が「ゆっくり」の個性に合致し、人気を博しました。「棒読みちゃん」などのテキスト読み上げソフトも併用されることが多く、現在でも多くの動画制作者に利用されています。

「ゆっくりボイス」は「ゆっくり」関連動画以外にも使用されており、その汎用性の高さから、様々な動画コンテンツに活用されています。

著作権と二次使用

「ゆっくり」の著作権は当初、非常に不明確でした。霊夢と魔理沙をモチーフとした二次創作であるアスキーアート、そしてそれを元にしたイラストと、三次創作が重なり合った複雑な経緯があるためです。

しかし、2020年10月、東方Project 25周年記念作品『東方ダンマクカグラ』制作元であるアンノウンXが公開した動画の中で、上海アリス幻樂団代表ZUN氏、アスキーアート制作者Dプ竹崎氏、イラスト制作者「まそ」氏のコメントが紹介されました。それによると、基本的には自由使用が可能であり、「東方Projectの二次創作ガイドライン」の対象であるとされました。

ゆっくり茶番劇商標登録問題

YouTuberである柚葉/Yuzuha氏による「ゆっくり茶番劇」の商標登録申請とその後の騒動は、インターネット上で大きな議論を呼びました。商標権の主張と、それに対する反発、そして最終的な商標権の破棄という経緯は、著作権や商標権に関する議論を改めて喚起する出来事となりました。

まとめ

「ゆっくりしていってね!!!」は、アスキーアートからイラスト、音声合成技術と、インターネット文化の進化と共に発展してきた、象徴的なキャラクターです。その人気は、多くの二次創作を生み出し、新たなインターネット文化を形成するに至りました。著作権や商標権に関する問題は、インターネット上のコンテンツ作成と利用において、常に課題として認識されるべきものであると言えるでしょう。

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