ゆのはな

『ゆのはな』は、株式会社PULLTOPより2005年3月25日に発売された、18歳未満購入禁止の恋愛アドベンチャーゲームです。

概要
本作は「賽銭おねだりADV」というユニークなコンセプトを掲げています。主人公がアルバイトで金銭を稼ぎ、その資金を特定の目的のために使いながら、働く先で出会う少女たちとの恋愛関係を深めていくのが主なゲームシステムです。キャッチコピーは「ものがたりの季節は、冬」。また、英語のサブタイトル「A heart-warming fairy tale of winter」が示す通り、「心と肌のふれ合い」を通じて人間の温かさを感じさせる、感動的なストーリー展開（いわゆる「泣きゲー」の要素）も兼ね備えています。

発売当初は豪華特典付きの初回予約限定版「大吉パック」も用意されましたが、早期に完売し、通常版のみの販売が続きました。ゲーム本編だけでなく、その人気を受けて2005年6月には一迅社よりビジュアルファンブックが、同年7月にはパラダイムより小説版（わかばシナリオをベース）が発売されています。さらに、丸谷秀人氏とJ・さいろー氏がそれぞれシナリオを担当したドラマCDも2巻がリリースされるなど、多角的なメディア展開が行われました。

歴史
ゲームの企画は2004年6月頃に始まり、当初は2005年2月25日の発売が予定されていましたが、後に2005年3月25日へと延期されました。主要なパソコンゲーム雑誌で紹介記事が掲載されるなど、発売前から注目を集めました。プロモーションの一環として、2005年2月から4月にかけて応援バナーキャンペーンが実施され、参加者には原画担当の藤原々々氏のサイン入り色紙がプレゼントされました。また、発売後の2005年4月には公式サイト上でキャラクター人気投票「ゆのはな町最強王座決定戦」が行われ、土地神であるゆのはが僅差で穂波を抑え1位を獲得しました。

ストーリー
物語は、冬休みにバイク旅行中の大学生、草津拓也が、とある田舎町「ゆのはな町」で猫を避けようとして古びた祠に突っ込み、重傷を負うところから始まります。瀕死の彼を救ったのは、祠に宿るゆのはな町の土地神「ゆのは」でした。しかし、祠を壊した弁償として、ゆのはは拓也に多額の現金を要求します。もし払えなければ、拓也の身体は修復されずに崩壊し、祠が直らなければゆのはの神力が暴走して町が雪に埋もれてしまうという、半ば脅迫めいた状況に追い込まれた拓也は、借金返済のためにゆのはな町での生活を余儀なくされます。銭湯「華の湯」を経営する伊東家に居候させてもらいながら、商店街の様々な店でアルバイトに励む拓也は、そこで出会う個性豊かで心温かい町の人々、特にヒロインたちとの交流を通じて、人間的な絆や温かさを再認識していきます。

舞台
物語の舞台となる「ゆのはな町」は、冬場は例年多くの雪が降る東北地方らしき場所に位置する架空の田舎町です。かつては温泉観光で栄えましたが、温泉が枯れてからは過疎化が進んでいます。町の中心には「ゆのはな商店街」があり、華の湯、高尾酒店、白摘茶房、春日デンキ、たがみといった様々な商店が軒を連ねています。拓也はこれらの店を中心にアルバイトをしながら生活資金を稼ぎます。町はずれには拓也が壊してしまった「ゆのは姫の祠」や、江戸時代建立の「湯ノ花神社」などがあります。冬の閉鎖的な環境の中で、拓也は町の人々との関わりを深めていきます。

登場人物
草津 拓也: 主人公。事故で大怪我を負い、ゆのはの力で仮死状態を保ちつつ、借金返済のためアルバイトに励む。能天気ながら根性のある大学生。
ゆのは: ゆのはな町の土地神。見た目は幼い少女だが、千年を生きた存在。祠の修理費用を稼がせるため、拓也を徹底的に搾取する守銭奴的な一面を持つ。
伊東 わかば: 華の湯の娘。優しく明るい性格で、主人公を疑いなく受け入れる。絵本作りが趣味。
高尾 椿: 高尾酒店の娘。男勝りな姐さんタイプだが、実は売れっ子のライトノベル作家。
* 桂沢 穂波: 白摘茶房の娘。オカルト好きで霊感を持つ。表情の変化が少ないが、特定の状況では感情を露わにする。

これらのヒロインに加え、怪力少女の宇奈月由真、喫茶店のマスターである穂波の母・榛名、商店街会長の渋蔵、華の湯の女将であるわかばの祖母・みつ枝など、個性豊かなサブキャラクターたちが物語を彩ります。

スタッフ・主題歌
企画・ディレクションを朝妻ユタカ氏、シナリオを丸谷秀人氏（わかば・椿担当）とJ・さいろー氏（穂波担当）、原画・キャラクターデザインを藤原々々氏が担当しました。主題歌は全て原田ひとみ氏が歌唱しており、オープニングテーマ「冬だより」、エンディングテーマ「約束～resume～」、イメージソング「満ちる季節〜vocal ver〜」があります。

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