ようこそジャパリパークへ

ようこそジャパリパークへ：社会現象を巻き起こした『けものフレンズ』の主題歌

2017年2月8日にリリースされたどうぶつビスケッツ×PPPの「ようこそジャパリパークへ」は、テレビアニメ『けものフレンズ』のオープニングテーマとして、瞬く間に社会現象を巻き起こした楽曲です。作詞・作曲・編曲を手掛けたのは、数々のヒット曲を世に送り出している大石昌良氏。その制作背景から音楽性、リリース後の反響まで、多角的に見ていきましょう。

制作秘話：深夜に聴いても違和感のない曲を目指して

大石氏は、ビクターエンターテインメントのディレクターからの依頼を受け、アニメ製作委員会の会議にも参加しながら楽曲制作に取り組みました。テンポの速い賑やかな曲という要望はありましたが、アニメのプロットや構成資料などを参考に、ほぼ自由に制作できたとのこと。プロデューサーの福原慶匡氏は、深夜に聴いても違和感のない、まるで『野生の王国』のような曲を目指していたそうで、話し合いの結果、アフリカの楽器であるクイーカが楽曲に取り入れられました。このクイーカの音色は、アニメの世界観と相まって「ゴリラの声」として話題を呼びました。

音楽性：王道コード進行とアニソンの系譜

ドラムは山内“masshoi”優氏、その他の楽器は全て大石氏自身が演奏しています。「黄金期J-POP時代」のヒット曲に見られる王道コード進行を意識的に各セクションに散りばめ、アニソン黄金期の名作である『らき☆すた』、『涼宮ハルヒの憂鬱』、『けいおん！』、『ゆるゆり』といった作品群から受け継がれるアニソンの要素も取り入れています。大石氏は、星野源氏にもこの王道コード進行の影響が伝わったのではないかと推測しています。

レコーディングはアニメのアフレコよりも前、声優陣がキャラクター像を完全に理解しきっていない時期に行われたため、8人分のフルコーラスを3日間かけて録音し、後からパートを振り分けるという、非常に時間と労力をかけた制作プロセスとなりました。大石氏自身もコーラスとして参加しており、中性的なコーラスが楽曲に奥行きを与えています。

リリースと反響：予想をはるかに超えた社会現象

楽曲は2017年2月8日に、初回限定盤と通常盤の2形態でリリースされました。大石氏は事前にニコニコ動画で仮歌を公開し、注目を集めていました。そして、リリース当日、iTunes総合ランキングで3位まで上昇。予想以上の反響に、CDの生産数が足りず、発売翌日に完売、追加生産を発表する事態に。オリコンチャートでも最高位18位を記録しました。

星野源氏のラジオ番組『星野源のオールナイトニッポン』で取り上げられたことも、楽曲のヒットに大きく貢献しました。大石氏自身もこの楽曲の成功が転機となり、音楽人生における大きな変革期になったと語っています。

『ミュージックステーション』や『FNS歌謡祭』など、数々の音楽番組でも披露され、地上波パフォーマンスでは間奏の台詞を番組名に変更する工夫も凝らされました。配信数は12万回を突破し、ゴールド認定を受けるなど、その人気は社会現象的なものとなりました。星野源氏や神前暁氏、平井堅氏など、著名人からも高い評価を受けています。

受賞歴とカバー

ニュータイプアニメアワード2017主題歌賞、平成アニソン大賞作詞賞を受賞するなど、その音楽的価値も高く評価されています。さらに、ビリーバンバンの菅原進氏によるカバーもリリースされるなど、世代を超えて愛される楽曲となっています。

まとめ

「ようこそジャパリパークへ」は、軽快なサウンドと王道コード進行、そしてアニソンの系譜を受け継いだ、完成度の高い楽曲です。制作過程やリリース後の反響を含め、社会現象を巻き起こした理由を多角的に考察することで、その魅力をより深く理解することができます。大石昌良氏による楽曲制作へのこだわりと、それを支えた多くの関係者たちの努力が、この楽曲の成功を導いたと言えるでしょう。

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