アウトサイダーズ

映画『アウトサイダーズ』

概要

『アウトサイダーズ』（原題: Trespass Against Us）は、2016年に製作されたアメリカ合衆国とイギリスの合作による犯罪ドラマ映画です。アダム・スミスが監督を務め、主演はマイケル・ファスベンダーが演じました。この作品は、犯罪を生業とする一家の一員が、その世界から足を洗おうと試みる姿と、それによって生じる家族内の激しい対立を描いています。

ストーリー

物語の中心となるのは、アイリッシュ・トラヴェラーと呼ばれる移動型民族の一族であるカットラー家の息子、チャド・カットラーです。彼は、自身が属する犯罪ファミリーの慣習に縛られる生活から抜け出し、何よりも大切な自分の子供たちに普通の人生を与えたいと強く願っています。そのため、チャドは危険な稼業から距離を置くことを決意します。

しかし、一族の絶対的な支配者であるチャドの父親、コルビー・カットラーは、息子のこの決断をファミリーに対する裏切り行為と見なします。コルビーは、チャドを自分の影響下に留め、ファミリーの掟に従わせるため、地元の有力者が所有する邸宅への強盗という、極めて困難かつ危険な任務を息子に強要します。

この強盗計画を実行に移したことで、チャドは期せずしてファミリーからの追跡だけでなく、警察当局からも激しくマークされる立場に追い込まれます。自由を求めるチャドと、伝統と支配にしがみつく父親コルビーとの間で繰り広げられる壮絶な確執が、緊迫感あふれるタッチで描かれていきます。親子の絆と、それぞれの譲れない価値観が衝突する中で、チャドは自身の選択の重さと向き合うことになります。

キャスト

本作には実力派俳優が集結しています。主人公チャド・カットラーを演じるのは、多彩な役柄で知られるマイケル・ファスベンダー。そして、冷酷ながらも一族への強い執着を持つ父親コルビーには、ベテラン俳優のブレンダン・グリーソンが扮し、父子の緊張感ある関係を見事に体現しています。

その他の主要キャストとして、ゴードン・ベネット役にショーン・ハリス、ケリー・カットラー役にリンゼイ・マーシャル、ウィンドウズ役にバリー・コーガン、ロヴァッジ巡査役にロリー・キニア、ケニー役にキリアン・スコット、ノーマン役にトニー・ウェイ、サンプソン役にキングズリー・ベン＝アディル、レスター役にジェラルド・カーンズ、タイソン役にジョージー・スミスらが名を連ねています。

製作と公開

映画の製作は、2013年10月31日にマイケル・ファスベンダーの出演が報じられたことから始まりました。続いて2014年5月16日には、ブレンダン・グリーソンをはじめとする主要キャストの参加が伝えられています。同年6月には、イギリス国内で主要な撮影が無事開始されました。

公開に関しては、2014年5月16日にライオンズゲートがイギリスにおける配給権を獲得したことが発表されました。その後、同年12月16日には、アメリカでの配給権をA24が取得しています。世界に先駆けてのプレミア上映は、2016年9月9日に開催された第41回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーション部門にて行われました。

評価

本作に対する批評家の評価は、賛否が分かれる結果となりました。映画批評集積サイトであるRotten Tomatoesでは、64件のレビューに基づいて批評家支持率が56%、平均点が10点満点中5.6点となっています。同サイトの総評では、「主演を務めたマイケル・ファスベンダーとブレンダン・グリーソンの演技は高く評価できるものの、作品全体のストーリー展開や雰囲気の統一性に課題が見られた」と指摘されています。また、Metacriticにおいても、16件のレビューに基づく加重平均値は50/100となり、評価が賛否両論であることを示しています。

主演俳優たちの熱演は多くの批評家から認められた一方で、物語全体の構成やトーンの一貫性について議論の余地が残る作品と言えるでしょう。

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