アグボグブロシーについて
アグボグブロシー(Agbogbloshie)は、ガーナの首都アクラに近いオダウ川のコーレラグーン沿いに位置する、世界最大の電子機器廃棄物処理場です。この地域には約8万人が暮らし、長年にわたって国内外から投棄された電子廃棄物が堆積しています。アグボグブロシーは「デジタル・ダンピング・グラウンド」や「電子ゴミの墓場」と呼ばれることもあり、環境問題が深刻です。
歴史的背景
アグボグブロシーはかつて青々とした
マングローブ林と湿地帯が広がっていた保養地で、
1960年代にはヤム芋やタマネギの市場として発展しました。しかし、1970年代から1980年代にかけて経済的な理由から農村部から都市部への移民が増加し、その後、この地域が開発されていきました。
1990年代になると、様々な対立から逃れるために多くの移民がアグボグブロシーに集まり、電子廃棄物の投棄場が形成されました。
2000年代からは、海外からのE-wasteの投棄が確認され、現在では毎年約50万
トンの電子機器がここに投棄されています。特に、
先進国からの不法投棄が多く、アグボグブロシーはその象徴的な場所となっています。
E-wasteの出所と議論
アグボグブロシーに投棄される電子廃棄物の多くは、海外から輸入されたものであるとする観点が強いですが、一方でアフリカ内で発生したE-wasteも含まれています。2012年の国連の報告書によれば、アフリカ諸国で発生する電子廃棄物の割合は高く、ガーナ国内でも多くの電子機器が売買されています。特に、ガーナの経済状況が悪化する中で、安価な壊れた電子機器の再利用が行われていることも一因です。
環境問題と健康リスク
アグボグブロシーでは、電子機器の焼却や解体が行われており、これにより有毒物質が環境に放出されています。
鉛や
水銀といった
有害物質が土壌や水源を汚染し、その影響で住民の健康に悪影響を及ぼしています。特に、子供たちが高濃度の
鉛中毒に陥る例も多く報告されています。
ガーディアンの記事によると、アグボグブロシーでは火傷や呼吸器系の健康問題が多発しているとのことです。
政府と支援の動き
ガーナ政府は、環境修復プロジェクトを実施し、不法占拠者の退去を試みましたが、地域住民との衝突が発生しました。近年、国際的な支援もあり、電子廃棄物処理の改善に向けた取り組みが進められています。ドイツ政府からの支援を受けた新しい廃棄物処理システムの構築や、様々なNGOや活動家の取り組みも見られます。
アグボグブロシーの未来
アグボグブロシーの問題は、環境と人々の健康に深刻な影響を及ぼしており、持続可能な解決策が求められています。この地域の現状をデジタルアートや文学を通じて世界に発信する活動も広がっており、国際的な理解と支援の必要性が高まっています。今後、アグボグブロシーが直面する環境問題がどのように解決されていくのか、注目が集まっています。