アサヒカメラ

アサヒカメラの歴史と影響

アサヒカメラは、1926年に創刊されたカメラと写真に特化した雑誌であり、朝日新聞社（現在は朝日新聞出版）から発行されていました。創刊の背景には、前年に開催された『アサヒグラフ』が主催した「ニエプス写真百年祭」があり、アマチュア写真家団体の統一組織として全日本写真連盟が設立されたことがあります。この雑誌は、この連盟の機関紙として企画されたものでした。

最初の編集長は、成沢玲川であり、彼は著名な写真家立木義浩の伯父でもあります。アサヒカメラは、他のカメラ雑誌と一線を画し、作品の鑑賞よりも「撮影」技術と機材の紹介に重点をおいていました。休刊するまでの数十年、そのスタイルは変わることなく一貫していました。

アサヒカメラは、第二次世界大戦中の1942年に一時休刊されましたが、1949年に復刊。その後、長期にわたって写真技術や機材に関する情報を提供し続けたものの、部数の低迷と新型コロナウイルスの影響により、2020年に発行を停止することを余儀なくされました。94年の歴史に幕を下ろしましたが、その影響力は根強く残っています。

木村伊兵衛写真賞の創設

アサヒカメラは、毎年行われる木村伊兵衛写真賞を主催しており、この賞はプロ・アマ問いません。年齢に関係なく、評価された作品は受賞対象となります。毎年の受賞者や選考結果は本誌で発表され、写真界に新たな才能を送り出しています。この賞は、アサヒカメラの名を冠した重要なイベントであり、今でも多くの注目を集めています。

事件と論争

2009年には、アサヒカメラにおいて公然わいせつ罪と礼拝所不敬罪で問題が発生しました。特集記事に関連する写真集のために、表紙や特集が事前に掲載されたことが、訴訟問題を引き起こしました。また、風景剽窃裁判に関する誤った情報が発表された事件もあり、アサヒカメラの編集部は自らの過ちを認めて謝罪することとなりました。

年鑑と刊行物

アサヒカメラは、戦前から年鑑を出版し、例えば「日本写真年鑑」や「アサヒカメラ年鑑」などが展開されていました。しかし、2011年以降はその刊行が停止しています。さらにアサヒカメラを名乗る書籍や新たな講座も数多く刊行されており、写真愛好者とプロに向けての教育的な取り組みも継続されています。

総括

アサヒカメラは、その基本的な理念である「撮影技術の普及と啓蒙」を長い間続けてきました。技術的な内容から作品の発表まで、さまざまな側面で日本の写真文化に貢献してきたこの雑誌は、その活動を通じて多くのファンと写真家に愛されました。今後は、朝日新聞出版のニュースサイト「AERA dot.」での情報発信やスペシャルエディションの発行が予定されているなど、その影響は新しい形で続いていくことでしょう。

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