アフリカ・エコレース

アフリカ・エコレース：環境に配慮したラリーレイドイベント

アフリカ・エコレースは、2009年から毎年開催されているラリーレイドイベントです。名称に「エコ」とありますが、これは燃費競争ではなく、環境に配慮した運営を行うことを意味しています。

このレースの誕生は、2008年に安全上の理由からアフリカでの開催が中止されたダカール・ラリーに端を発します。ダカール・ラリー四輪部門で優勝経験のあるジャン＝ルイ・シュレッサーとルネ・メッジらが中心となり、アフリカを舞台とした新たなラリーレイドイベントとして創設されました。当初は「トランスアフリカ・イン・クラシック」という名称も検討されたようです。

アフリカ・エコレースは、往年のパリ・ダカール・ラリーへのオマージュとして「リアル・レース・トゥ・ダカール」を標榜し、コース設定や開催時期など、多くの点でパリ・ダカール・ラリーの伝統を受け継いでいます。コースは西欧から出発し、地中海を渡って西アフリカを横断、セネガルの首都ダカールをゴールとする、全長約6,000km（競技区間約4,000km）の大規模なものです。開催時期は当初はダカール・ラリーと重なっていましたが、現在はずらされ、参加しやすくなっています。ただし、2023年の大会は財政問題と異常気象の影響により中止となりました。

2016年以降はモナコがスタート地点となっており、参加車両はダカール・ラリーとほぼ同様ですが、排気量制限などがやや緩やかで、クラシックカーやクラシックバイクの参加も容易です。また、FIAの厳格な規定とは異なり、参加人数にも柔軟性があります。2022年の大会では、チェコのトーマス・トメチェクがトラックに一人で乗り込み優勝を果たすという、驚異的な快挙を達成しました。

ダカール・ラリーと比較して、アフリカ・エコレースはメーカー系のワークスチームの参加は少なく、プライベーターやアマチュアレーサーが中心となっています。近年は日本からの参加者も増加しており、篠塚建次郎や菅原義正といったベテランレーサーも参戦しています。菅原義正はダカール・ラリー引退後、アフリカ・エコレースの日本事務局を設立するなど、レースの発展にも貢献しています。

環境への配慮もこのレースの大きな特徴です。表彰台の土台を盛り土にするなど、ゴミの削減に努めており、植林活動やアフリカの学校へのソーラーパネル設置など、収益の一部を環境保全活動に充てるなど、持続可能なイベント運営を目指しています。ダカール・ラリーが環境問題で批判された点を踏まえ、環境への配慮を重視することで差別化を図っていると言えるでしょう。

アフリカ・エコレースは、伝統的なラリーレイドの要素と環境への配慮を融合させた、ユニークなイベントです。参加者の高いモチベーションと、環境への意識、そしてアフリカ大陸の壮大な自然が織りなす、魅力的なレースと言えるでしょう。

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