アミテージ・ザ・サード

アミテージ・ザ・サード

『アミテージ・ザ・サード』（原題：ARMITAGE III）は、1995年に制作された日本のOVAで、AICが手掛けた作品です。舞台は火星であり、物語は火星警察（MPD）の刑事ロス・シリバスと彼のパートナーであるナオミ・アミテージが直面する事件を中心に展開されます。このアニメは、サイバーパンクの要素が色濃く盛り込まれており、特にロボットと人間の関係、そして人間性の限界についての問いかけがなされています。

制作背景

本作は、アニメータの越智博之がキャラクターデザインと監督を務めるという意欲的なプロジェクトであり、1995年から全4巻のOVA形式でリリースされました。また、そのストーリーは漫画化され、メディアミックスが行われましたが、残念ながら日本国内での商業的成功は収められませんでした。この一方で、海外では特にアメリカで大ヒットを記録しました。アメリカ版は、Pioneer USAが制作し、Funimationが配給したもので、英語吹き替えと再編集が施された『ARMITAGE III POLY-MATRIX』として1996年4月に公開されました。その後の続編『ARMITAGE DUAL-MATRIX』も2001年に制作され、国内外で高評価を得ました。

物語の概要

物語は、シカゴから火星警察に赴任してきた刑事ロス・シリバスの視点から始まります。彼は到着直後に発生した殺人事件に巻き込まれ、被害者は人気カントリー歌手のケリー・マッキャノンであることが明らかになります。しかし、調査を進める中で、彼女の身体がロボットであることが判明し、ロスは衝撃を受けます。遺体の中には人間と見間違えるほど精巧に作られたロボットがいて、その存在には「サード」と呼ばれる非合法なアンドロイドとの関連があることが明らかになります。

ロスとナオミは、サードの謎を解明するために共闘しますが、事件は思わぬ方向へ進展します。サードの開発の背景には火星社会の状況があり、出生数の低さを補うために開発されたことが次第に明らかになっていくのです。

登場人物とキャラクター

本作の重要なキャラクター、ナオミ・アミテージは、MPDの巡査部長であり、サードの一人でもあります。彼女はサードの開発過程で、アサシンドロイドと呼ばれる試作体として設計されています。ロス・シリバスは、彼女のパートナーとしてサードの秘密に迫ります。その他のキャラクターには、サードの連続殺人事件の犯人であるルネ・ダンクロードや、アミテージの真相に関わるジュリアン・ムーアがいます。

テーマと用語

作品の中心テーマは、人間性の境界や社会の倫理観についての探求です。特に、サードと呼ばれるロボットの描写は、技術の発展がもたらす可能性と危険性を示唆しています。また、サードの特徴として「受胎可能であること」が挙げられ、そのために女性に限定されるのは、火星社会の出生数の低下に対する解決策であることが背景にあります。

音楽と主題歌

各エピソードには、松宮恭子による音楽が付けられ、特にエンディングテーマ「いい夢を思い出せない」は多くのファンに愛されています。

関連作品

ONA、漫画に関しても展開がなされ、ストーリーの異なるコミカライズ版が出版されましたが、アニメ版とは異なる展開となっています。2022年には、OVAと劇場版のデジタルリマスターが行われ、ファンに向けた新たな形での提供も開始されました。こうした継続的な展開を受けて、シリーズの人気が息づいていることを実感できます。

『アミテージ・ザ・サード』は、その独特な世界観と深いテーマ性から、多くのファンに支持され続ける作品です。

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