アミメアリ

アミメアリ（網目蟻）について

アミメアリ（Pristomyrmex punctatus）は、膜翅目に属するアリの一種で、特にフタフシアリ亜科に分類されます。広範囲にわたる分布を持ち、主に東南アジアから東アジアにかけて生息しています。この小型のアリは、人家の周辺でもよく見かけられ、日本においては長い間P. pungensという名前で知られていましたが、2003年にWangによってP. punctatusの別名とされ、学名の変更が行われました。

形態の特徴

アミメアリの体長は2.5mm程度で、頭部や胸部、腹柄節は茶褐色をしていますが、腹部は黒褐色であり、その表面は丸く光沢を持っています。腹部の形状は涙滴型ですが、尖った側が下向きのため、上から見ると球形に見えます。また、頭部と胸部には光沢がなく、表面には微細な網目状の隆起が確認できます。この網目模様は肉眼での観察は難しいものの、ルーペを使用することで観察可能です。さらに、胸部には後方に鋭い棘状の突起が見られます。

アミメアリはフタフシアリ亜科に属するため、腹柄節が2つ存在します。下を向いた腹端には非常に小さい毒針があるものの、これを使って積極的に攻撃したり防御したりすることはないようで、これにより人間が刺されることもないとされています。見かけ上は、同じフタフシアリ亜科に属するオオズアリ類と類似していますが、体色や大きさ、及びその後方において兵隊アリの存在が見られないことから、容易に区別することができます。

生息域

アミメアリは日本全国に広く分布しており、特に森林やその周辺に多く見られますが、意外にも人家周辺でも観察されることが多いです。石の下や朽ち木などに集団でひそんでおり、そこで卵や幼虫、蛹の管理を行います。アミメアリは特有の生態を持ち、永続的な巣を作ることは少なく、食物を求めて適宜集団で移動することが通常です。時には林道や家の庭などで、これらのアリたちが集団で長い行列を作っているのを目にすることもあります。

また、アミメアリには女王アリが存在せず、働きアリが自ら産卵を行います。職能が特化した働きアリは、比較的若い個体が少数ずつ産卵を行い、近年の研究で単眼を持つ大型個体が産卵を専門に行う個体群であることが確認されました。

集団での移動中、各アリは卵や幼虫、蛹を一つずつ口にくわえて運び、しばしばアリを捕食するハエトリグモの一種であるアオオビハエトリが行列に付きまとうことも観察されます。蛹は他のフタフシアリ亜科のアリと同様に繭を作らず、外部にさらされた状態で存在します。

アミメアリは湿気のある環境を好み、主に地面や低木を徘徊し、食物を求めています。昆虫の死骸を見つけると、それを一時的な「巣」として運びますが、動物質よりも甘い物を好む傾向があり、樹液や果物、さらには人間が作った菓子にも群がることから、時には家庭に侵入して害虫扱いされることもあります。

アミメアリは独特な生態と姿を持つことで、興味深い存在となっています。その習性や分布について学ぶことで、彼らの生態系における役割をより深く理解することができるでしょう。

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