アメリカの友人

映画『アメリカの友人』の概要

『アメリカの友人』（原題: Der amerikanische Freund）は、1977年に制作されたサスペンス映画で、ヴィム・ヴェンダースが監督を務めています。本作は、パトリシア・ハイスミスの著作『アメリカの友人』を基にしており、この小説は同じ著者による『太陽がいっぱい』および『リプリー』の続編として、多くの人々に知られています。主人公トム・リプリーのその後を描いた『トム・リプリー』シリーズの第3弾となる作品でもあります。また、原作には『贋作』の一部エピソードも取り入れられています。

映画は、アメリカ人のトム・リプリーがドイツに住む老画家を訪ねるところから物語が始まります。彼が訪問した画家は、すでに数年前に亡くなっているはずのデルワットその人だったのです。しかし今はボガッシュという名前を名乗り、自らの「晩年」の絵を描き続けていました。その絵はヨーロッパの画商の競売で高値で取引されていましたが、実はそれは贋作でした。

トム・リプリーは、美術商から競売会で額縁職人ヨナタンが贋作を見抜いたことを耳にします。ヨナタンは白血病を患っており、その治療費に困っているという話をトムは耳にすることになります。この情報がフランス・マフィアのミノの耳に入ることで、物語は複雑に交錯し始めます。ミノは素人を使って敵対するマフィアを排除する計画を立て、トムはヨナタンに接触し、彼を巻き込んでいきます。

トムは、殺しの報酬を提示し、ヨナタンにパリの医師の診察を受けるように仕向け、捏造した悪い診断結果を見せることで、彼を殺人者に仕立て上げます。そして、パリの地下鉄で標的の男を射殺し、続いてミュンヘンの列車内でも次のターゲットを始末します。これらの成功は、トムとヨナタンの関係をさらに悪化させるばかりでした。

しかし、ミノがマフィアに嗅ぎつけられる危険を知らせると、トムとヨナタンはトムの家で激しい戦闘に突入します。最終的には、彼らがマフィアを撃退し、さらにはその死体を隠すために救急車で搬送することになりますが、ヨナタンは妻と共にその場から逃げ出します。最終的に、ヨナタンは運転中に意識を失い、妻の必死の制御によって車は急停止しますが、彼は息絶えてしまいます。

本作のキャストには、デニス・ホッパーがトム・リプリーを、ブルーノ・ガンツがヨナタン・ツィマーマンを演じています。映画は、パトリシア・ハイスミスの原作の持つ緊張感と存在感を余すところなく表現しており、批評家からも高く評価されています。Rotten Tomatoesでは、91%の高評価を得ており、その魅力を証明しています。

映画『アメリカの友人』は、日本では2021年11月より「ヴィム・ヴェンダース レトロスペクティブ ROAD MOVIES／夢の涯てまでも」という特集上映として4Kレストア版が劇場で公開され、多くのファンに支持されています。

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