アリオ仙台泉

アリオ仙台泉:その誕生から終焉まで



アリオ仙台泉は、かつて宮城県仙台市泉区に存在したショッピングセンターです。セブン&アイグループが展開するアリオブランドの15番目の施設としてオープンしましたが、営業不振のため2024年1月31日に閉館しました。本稿では、アリオ仙台泉の前身であるイトーヨーカドー仙台泉店についても詳しく解説します。

概要



仙台市が推進する都市機能分散化構想に基づき、泉地区副都心計画が1980年にスタートしました。泉区役所前の広大な土地を対象とした土地区画整理事業が進められ、商業、文化、ビジネス機能が集積。その一環として、構想から12年の歳月を経てアリオ仙台泉は誕生しました。隣接するセルバと共に、泉中央駅前の主要な商業施設として地域住民に親しまれていました。

建物は地上5階・地下1階建てで、核テナントのイトーヨーカドーに加え、約50の専門店が入居していました。セルバとは空中連絡通路で接続され、駐車場や駐輪場も共有。両施設が連携した企画も数多く実施されていました。

沿革



イトーヨーカドー仙台泉店



1992年7月、仙台市地下鉄南北線泉中央駅の延伸開業に合わせて「泉中央SC・イトーヨーカドー仙台泉店」として開業しました。店舗棟、立体駐車場棟、スロープ棟から構成され、延床面積は約59,000㎡、2,000台収容の駐車場を完備。東北地方最大級のスケールを誇るショッピングセンターとして注目を集めました。商圏は北部後背地を中心に半径10kmを超える広範囲をカバーし、約25万人の商圏人口を見込んでいました。

開業当初は、近隣にダイエー仙台泉SCとジャスコ泉店が競合店として存在していました。

売場構成は、地下1階が食品フロア、1階が婦人ファッション、2階が紳士・ヤングファッション、3階が暮らしと肌着、4階が子供と趣味、5階が飲食とプレイランドとなっていました。テナントは婦人服専門店を中心に56店舗で構成され、有名ナショナルブランドや地域に根ざした店舗が軒を連ねていました。5階には、東北地方最大級の屋内アミューズメント施設「ナムコランド」も入居していました。

しかし、1996年をピークに売上は減少。2009年にはピーク時の半分以下にまで落ち込みました。2010年イトーヨーカ堂は賃貸契約満了となる2012年6月での閉店を決定しました。

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、店舗棟だけでなく駐車場棟も大きな被害を受けました。翌3月12日には店頭販売で営業を再開し、停電解消後には食品や日用品の一部フロアでの限定的な再開を果たしました。全館再開には2ヶ月を要しましたが、震災後の売上回復と家賃減免交渉の成立を受け、同年11月には営業継続を決定。2012年には開業以来初となる大規模改装を実施しました。

アリオ仙台泉



2013年3月、大規模改装に際し、イトーヨーカドーからアリオへの業態転換を発表しました。核テナントとしてイトーヨーカドーを残しつつ、西武百貨店の小型店などを導入し、ファッション専門店を強化することで若年層の取り込みを図りました。

2014年3月には、隣接するセルバとの空中連絡通路が開通し、アリオ4階とセルバ5階が接続され、利便性が向上しました。

閉館



業態変更後、2018年と2019年には業績が回復しましたが、2020年の新型コロナウイルス感染拡大により一部店舗が休業を余儀なくされ、再び業績は低迷しました。

2023年3月、イトーヨーカ堂は経営合理化のため国内店舗を2割以上削減し、首都圏に集約する方針を発表。これに伴い、アリオ仙台泉店は2024年1月末に閉店しました。アリオ業態の施設の閉鎖は、2017年9月10日に閉館したアリオ松本に次いで2例目となります。

年表



1992年7月1日:「イトーヨーカドー仙台泉店」として開業
1992年7月15日仙台市地下鉄南北線・泉中央駅延伸開業
1999年4月1日:隣接地にセルバ開業
2010年10月15日2012年6月を目途に閉店予定と報道
2011年3月11日:東日本大震災発生により臨時休業
2011年3月12日:店頭販売で営業再開
2011年4月29日:地下鉄南北線が全線再開。営業フロアを4階まで拡大
2011年11月16日:震災後の売上回復などにより閉店予定を撤回し営業継続を決定と報道
2013年3月8日アリオへ転換することを発表
2013年4月27日:「アリオ仙台泉」としてリニューアルオープン
2014年2月1日:大規模小売店舗の名称を「selva・アリオ仙台泉店」に変更
2014年3月20日:当店4階とセルバ5階とをつなぐ空中連絡通路供用開始
2016年11月11日:セルバテラスがグランドオープン
2024年1月31日:閉館

アリオ仙台泉は、地域の発展に貢献した商業施設として、その名を記憶されることでしょう。

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