アロサ

アロサ：川を遡るニシン科の魚

アロサ (Alosa) は、ニシン科に属する魚類の総称です。英語ではシャッド (Shad)、フランス語ではアローズ (Alose) と呼ばれ、和名ではニシンダマシと呼ばれることもあります。ただし、ニシンとは異なる亜科に分類されます。釣り用のルアーとして有名なシャッドは、アロサを模して作られていることからその名が付けられました。

アロサは、北大西洋、メキシコ湾、地中海、黒海、そしてカスピ海といった広範囲に生息しています。多くの種は降海性で、産卵のために川を遡上し、淡水域で産卵を行います。産卵後、サケとは異なり、再び海へ戻ります。稚魚は1～2年間を淡水で過ごし、その後海へ下ります。しかし、一部の種は陸封型（一生を淡水で過ごす）であることも知られています。

アロサは食用魚として重要な役割を果たしており、いくつかの種は高い経済的価値を持っています。その美味しさから、古くから人々に食されてきた歴史があります。

アロサの近縁属には、インド洋や東南アジア近海に生息するテヌアロサ属 (Tenualosa) があります。テヌアロサ属は、以前はアロサ属に分類されていたものが、近年見直され、別属として分類されるようになりました。そのため、アロサ属とテヌアロサ属の分類については、現在も議論が続いています。

アロサの種類

アロサの種類は多様で、その分類にはいくつかの異説があります。ここでは、一般的な分類の一例を紹介します。亜属A. (Caspialosa)を別属とせず、A. (Alosa)に含める分類もあります。また、通常はテヌアロサ属に分類される種は、ここでは省略します。

Alosa (Alosa)

アゴーン (Alosa agone)
アラバマシャッド (Alosa alabamae)
アリスシャッド (Alosa alosa)
トウェイトシャッド (Alosa fallax)
アメリカシャッド (Alosa sapidissima)
ギリシャシャッド (Alosa vistonica)

Alosa (Caspialosa) - 黒海・カスピ海に生息

カスピマリンシャッド (Alosa brashnikovi)
カスピシャッド (Alosa caspia)
ポンティックシャッド (Alosa immaculata / Alosa pontica)
マケドニアシャッド (Alosa macedonica)
コッカイシャッド (Alosa maeotica)
サポシニコフシャッド (Alosa saposchnikowii)
アグラハンシャッド (Alosa sphaerocephala)
アゾフシャッド (Alosa tanaica)

Alosa (Pomolobus) - アメリカ近海に生息

ブルーバックヘリング (Alosa aestivalis)
スキップジャックシャッド (Alosa chrysochloris)
ヒッコリーシャッド (Alosa mediocris)
エールワイフ (Alosa pseudoharengus)

このように、アロサ属には多くの種が存在し、それぞれの種が異なる地域に生息し、多様な生態系を形成しています。今後も、遺伝子解析などの技術革新によって、アロサの分類や生態に関する理解が深まっていくことが期待されます。

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