アンクルトリス

アンクルトリス（Uncle Torys）は、日本の大手飲料メーカーであるサントリーが製造販売するウイスキー、「トリスウイスキー」の広告キャンペーンで長年にわたり活躍した人気キャラクターです。

誕生の背景と歴史

このキャラクターは、「トリスおじさん」の愛称でも広く知られています。その独特なイラストを手がけたのは、著名なイラストレーターである柳原良平氏です。キャラクターの名称は、CMプランナーの酒井睦雄氏によって名付けられ、広告キャンペーンに使用された秀逸なキャッチコピーは、作家としても知られるコピーライター、開高健氏が生み出しました。

アンクルトリス誕生のきっかけは、1956年（昭和31年）に遡ります。当時、サントリーの前身であった壽屋の東京支店で行われた宣伝会議において、柳原氏、酒井氏、開高氏といった才能が集結し、彼らの創意工夫によってこのキャラクターのアイデアが練り上げられました。1958年（昭和33年）には、サントリーのアニメーションによるコマーシャルに初めて登場。以来、1981年（昭和56年）までの長きにわたり、テレビCMを中心に活躍し、高度経済成長期の日本の大衆文化に深く根差しました。特に1961年（昭和36年）からは、「トリスを飲んでHawaiiへ行こう！」というキャッチーなキャンペーンを展開し、多くの人々の海外旅行への憧憬をかき立てました。

一度広告の表舞台から姿を消しましたが、2003年（平成15年）3月27日には、新商品「トリスウイスキー スクエア」の発売に合わせて、再びコマーシャルに登場し、往年のファンを喜ばせました。2015年には、ベテラン声優の屋良有作氏がアンクルトリスの声を担当しています。

キャラクター像

アンクルトリスは、どこか哀愁を帯びた親しみやすいキャラクターとして描かれています。その基本的な性格は、お人よしで少し気弱な「プチブル」（小市民的）な面を持ち合わせつつも、時として意外な大胆さを見せることもあります。感情を露わにすることは少ないものの、その内面は非常に繊細でナイーブであるとされています。強い正義感を持ち、女性を好む傾向があるようです。家族構成については、和服の似合う妻を持つ愛妻家であるという設定と、独身であるという資料が混在しています。

日々の楽しみとしては、ハイボールを自作して飲むことをこよなく愛しています。また、熱心な草野球愛好家でもあり、「東京トリス軍」のライトを守り、背番号は120という具体的な設定があります。職業は典型的なサラリーマンであり、彼の座右の銘は「普通」であるとされています。初期のCMでは、彼の首から頭にかけてが赤くなることで酔いの状態を表現していましたが、2010年以降のCMではこの描写は見られなくなりました。

評価と関連商品

アンクルトリスを用いた一連の広告活動は高く評価され、1984年（昭和59年）には、テレビコマーシャルを中心としたデザイン活動全体が毎日産業デザイン賞（毎日新聞社主催）を受賞しています。また、広告電通賞（電通主催）も受賞しており、その広告史における功績が認められています。

キャラクターの人気を受けて、様々な関連グッズも誕生しました。これには、飲食店などでよく見られた爪楊枝立てをはじめ、ピンバッジやグラス、コップなど、多岐にわたるアイテムが含まれます。

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