アーティゾン美術館

アーティゾン美術館：芸術の新たな地平

アーティゾン美術館は、東京の中心部、中央区京橋に位置する私立美術館です。2019年7月1日、旧称のブリヂストン美術館から改称され、2020年1月18日にはミュージアムタワー京橋に移転、リニューアルオープンを果たしました。

この美術館のルーツは、株式会社ブリヂストンの創業者である石橋正二郎氏の熱心な収集活動に遡ります。石橋氏は昭和初期から日本の近代絵画の収集を始め、戦後には西洋美術の収集にも本格的に取り組みました。戦後、まとまった西洋美術コレクションを入手し、わずか数年で日本屈指のコレクションを形成したのです。このコレクションを基盤として、1952年、ブリヂストン本社ビル内に「ビルの中に美術館」という革新的なコンセプトでブリヂストン美術館が開館しました。まさに、先駆的な試みでした。

開館後も石橋氏は収集活動を継続し、1956年には石橋財団が設立され、美術館の美術品も財団に移管されました。同年に、石橋氏の故郷である福岡県久留米市には石橋文化センターが開設され、その中核施設として石橋美術館が設置されました。しかし、2016年、石橋財団は石橋美術館の運営を久留米市に返還し、同美術館は久留米市美術館として新たなスタートを切りました。これに伴い、石橋財団が所有する国宝・重要文化財を含む美術品は全て、石橋財団アートリサーチセンター（東京都町田市）で一括管理されることとなりました。

ブリヂストン美術館時代には、1999年にリニューアルを行い、内装を一新。印象派絵画の展示室は、当時の雰囲気を再現するため、絨毯を敷いた床と色付きの壁で構成され、洗練された空間が創出されました。その後、建替えのため2015年5月18日から長期休館していましたが、2020年のリニューアルオープンで、ミュージアムタワー京橋の1階から6階を使用する、新たな美術館として生まれ変わりました。

アーティゾン美術館の名称は、“art（美術）”と“horizon（地平）”を組み合わせた造語です。その名の通り、西洋美術、日本近代絵画にとどまらず、古美術や現代美術まで、幅広いジャンルの美術作品を収蔵・展示しています。来場者はWebサイトからの日時指定予約制となっています。開館時間は10:00から18:00まで。休館日は毎週月曜日です。ただし、祝日や休日の場合は開館し、その翌日の最初の平日が休館日となります。

主な収蔵品には、レンブラント、コロー、ドーミエ、クールベ、ドガ、ルノワール、ピサロ、マネ、シスレー、ゴッホ、ゴーギャン、モロー、セザンヌ、ヴラマンク、モネ、モディリアーニといった巨匠たちの作品に加え、藤島武二、山下新太郎、藤田嗣治、小出楢重、中村彝、佐伯祐三、関根正二などの日本近代絵画の傑作も含まれています。さらに、旧石橋美術館保管分として、禅機図断簡（国宝）、雪舟の四季山水図（重要文化財）、円山応挙の作品、黒田清輝、藤島武二、青木繁らの作品、そして『古今和歌集』巻第一断簡（重要文化財）、青磁鉄斑文瓶（重要文化財）など、貴重な文化財も所蔵しています。

アーティゾン美術館は、石橋正二郎氏の情熱とビジョンを受け継ぎ、新たな芸術の創造と発信を続ける、魅力的な美術館です。そのコレクションの豊富さと、現代的な展示空間は、多くの来場者に感動と発見を提供することでしょう。多くの美術愛好家にとって、必見の美術館と言えるでしょう。

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