古今和歌集

古今和歌集とは

『古今和歌集』（こきんわかしゅう）は、平安時代早期に編纂された和歌集で、全二十巻から成り立っています。この歌集は、醍醐天皇の指示に基づいて作成され、905年（延喜5年）に正式に提出されました。このことから、古今和歌集は日本の歴史において最初の勅撰[[和歌集]]として重要な位置を占めています。

この歌集は後世に数多くの勅撰[[和歌集]]の範となり、当時の国風文化や歌論に大きな影響を及ぼしました。古今和歌集には、万葉集から選ばれなかった古い歌を中心に、撰者たちの時代までの和歌が収められています。最古の写本は、平安時代後期の元永3年（1120年）に作成された元永本古今和歌集です。

成立と撰者

古今和歌集の編纂には、紀友則、紀貫之、凡河内躬恒、壬生忠岑の四人が関わりました。このうち紀貫之が中心的な役割を果たしており、友則は編纂の途中で亡くなったとされています。歌集が完成したのは延喜5年の後とされ、当初発表されたのちも内容に手が加えられていたことがわかります。仮名序と真名序という二つの序文が存在し、仮名序は紀貫之が書き、真名序は紀淑望によるものと考えられています。

構成

古今和歌集は二十巻から成り、歌の総数は1111首にのぼります。巻の内容は、「春歌」「夏歌」「秋歌」「冬歌」など、季節ごとの歌や、恋歌、雑歌、そして悼歌など多岐にわたります。特に前に置かれている仮名序や巻末の真名序には、和歌の成立過程や編纂に関する重要な情報が記されています。これらの序文は後の歌論において基準となり、多くの和歌集に影響を与えました。

歌人たちと歌の収録

古今和歌集には多くの歌人の歌が収められ、その中には紀貫之や凡河内躬恒ら撰者自身の歌のほか、読人知らずの歌も多数含まれています。全体の約40%が読人不明の作品で、歌人の中でも紀貫之は最も多くの歌を持ち、特に彼の歌風が重視されました。六歌仙として知られる在原業平や小野小町の歌も含まれており、これらの歌は平安時代の貴族社会において高く評価されました。

評価と影響

古今和歌集は平安時代から中世にかけて、和歌詠みの模範として尊重され、歌論、歌会の基準として広く用いられました。『枕草子』や『源氏物語』などの文献にも引用され、時代を超えて多くの文化人に影響を与えてきました。また、公家や歌人に伝わる「古今伝授」の制度も生まれ、古今和歌集の講義が重要な教養とされていました。

政治的・文化的な意義

このように古今和歌集は、歌の形式や内容において後の和歌に深い影響を与えただけでなく、平安時代の国風文化の確立にも貢献しました。歌の分類や形式は後の和歌集に引き継がれ、歌論の基盤を形成しました。この影響は現在に至るまで続いており、古今和歌集は日本文学の重要な一部として位置付けられています。私たちが今日に伝わる和歌の多くは、実はこの古今和歌集からの流れを汲んでいるのです。

伝本の伝承と再評価

古今和歌集は様々な写本が伝わっており、定家本が特に有名です。近代以降、一時評価が低下しましたが、現在ではその価値が再評価されており、和歌文学を学ぶ際の重要な資料として位置付けられています。古今和歌集は日本文化、特に歌文学の発展において重要な役割を担った作品であり、その影響は今もなお強く残っています。

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