アーテック

株式会社アーテック

大阪府八尾市に拠点を構える株式会社アーテックは、教育機関向けの教材を中心に、企画、開発、製造、販売を一貫して行う日本のメーカーです。学校で使用される授業教材の供給を主な事業としつつ、一般消費者向けの知育玩具の開発・商品化も手がけています。子供たちの学びを深め、創造性や探究心を育む製品の開発に注力しており、その事業範囲は日本国内にとどまらず、積極的に海外へも展開されています。

沿革

同社の歴史は、1960年に「株式会社石井商会」として創立されたことに始まります。その後、1989年に現在の「株式会社アーテック」に社名を変更しました。事業規模の拡大に伴い、国内の物流体制を強化するため、1994年には大阪府八尾市に物流センターを開設しました。さらに、グローバルな市場への展開を視野に入れ、中国への進出を進め、2007年に広東省、2008年には浙江省にそれぞれ商品センターを設立しました。そして、2011年にはアメリカ合衆国と中国に現地法人を設立するなど、海外市場への本格的な進出を図っています。

主な製品

アーテックの製品ラインナップは多岐にわたりますが、特に教育現場や家庭で広く利用されているのは以下のカテゴリーです。

アーテックブロック

同社の代表的な製品の一つである知育ブロックです。ミニ四角（約10x10x10mm）、基本四角（約20x20x20mm）、Lブロック（約40x40x40mm）といった主要な形状のパーツがあり、これらは耐久性のあるABS樹脂で作られています。このブロックの最大の特徴は、縦、横、斜めのどの方向にも、パーツ同士がしっかりとずれずに連結できる独自の構造です。この特性により、平面的な作品から複雑な立体構造、さらには動くメカニズムまで、多様な表現が可能になります。主要な四角形パーツに加え、ハーフ、プレート、棒状のステー、三角、回転軸、レールなど、様々な形状のパーツが提供されており、より創造的な組み立てを支援します。また、歯車のラックとピニオンを再現できるパーツも用意されており、機械の仕組みを学ぶこともできます。

科学工作シリーズ

物理、化学、生物、地学といった主要な理科分野を網羅した工作・実験キットのシリーズです。ハンズオン・ラボやサイエンス・ペーパー・クラフトといったシリーズ名で展開され、子供たちが実際に手を動かし、観察や実験を通じて科学の原理や現象を体験的に学べるよう設計されています。光や音、電気、力の働きなど、身近な科学テーマから発展的な内容まで幅広くカバーしています。

ロボット教材『ロボティスト』シリーズ

近年重要視されているプログラミング教育に対応した教材シリーズです。アーテックブロックと組み合わせてロボットや様々な装置を作成できるのが特徴です。このシリーズの中核となるのは「Studuino（スタディーノ）」というマイコンボードで、これは世界的に普及しているオープンソースハードウェアであるArduinoとの互換性を持ちます。Studuinoは、従来のテキストベースのコーディングに加え、直感的なアイコンプログラミング環境や、Scratchをベースにしたブロックプログラミング環境を提供しており、プログラミング学習の入門者から発展的な学習者まで対応します。ボード上には4つのプッシュスイッチが搭載されており、外部入力として利用できます。また、DCモータードライバも内蔵しているため、別途モータードライバを用意することなく2つのDCモーターを直接制御できます。さらに、DCモーター、サーボモーター、各種センサー（加速度、タッチ、光、音、赤外線フォトリフレクタ）、LED、電子ブザーなど、多様な電子パーツが用意されており、これらを組み合わせて機能的なロボットや装置を制作できます。また、マニュアルにはアーテックブロック以外の一般的な電子部品との接続方法も記載されており、より自由度の高い開発や応用学習も可能です。

その他の製品

アート活動を促す『My Art Collection』や、人気キャラクターを活用した『パッコロリン プレイブック』といったプレイブックシリーズも提供しています。加えて、安全教育に関わる防犯・防災関連の教材も一部取り扱っています。

アーテックは、独創的な構造を持つブロック教材から、科学への興味を引き出す工作キット、そして現代の学びに対応したロボットプログラミング教材まで、子供たちの創造力、思考力、探究心を育む多様な製品を提供し続けることで、教育分野の発展に貢献しています。

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