インティ

インティ：インカ帝国の太陽神

インティは、インカ帝国において最も重要な神の一柱であり、太陽を神格化した存在です。ケチュア語で「太陽」を意味するこの神は、インカの人々にとって生命の源であり、世界の秩序を保つ根源的な力として崇められました。

概要

インカ帝国の創始者であるケチュア族は、太陽神インティを天界の最高位に位置づけ、特別な敬意を払いました。インティは単なる太陽の神としてだけでなく、創造神としての側面も持ち合わせていました。彼は、より複雑で普遍的な人格を持つようになり、創造神イラ・コチャ（ビラコチャ）の神格を吸収し、アプ・コン・チキ・ウィラ・コチャ神として知られるようになりました。この神は、世界の創造における水、土、火の3つの要素を支配する絶対的な力を持つと信じられていました。

インティは、天界において妻であるママ・キリャ（月）を娶りました。伝承によれば、ママ・キリャはインティの妹でもあったとされています。また、インティはイラ・コチャとママ・コチャの子供であるという説や、インティとママ・キリャがインカ帝国を築いたマンコ・カパックとその兄弟たち（ママ・オクリョ、コン、パチャカマック）の親であるという伝承も存在します。

インカの宗教観では、万物は創造神ビラ・コチャによって創造され、太陽もまたビラ・コチャによって創造されたとされています。太陽はインカの人々の祖先であり、インカ帝国の皇帝は太陽の子であるとされました。そのため、インカ帝国の支配者はインティの化身として崇拝され、その権威を正当化する根拠となっていました。

インティは「アプ・プンチャウ」（昼の指導者）とも呼ばれ、人面が描かれた金の円盤で表現されました。この円盤は雷光を伴い、インティの権力を象徴していました。一方、月は銀の円盤で表現されました。これらの金の円盤はスペインの侵略者によって発見され、最大のものは1571年にスペインからローマ教皇に贈られましたが、現在は失われています。

人々からの崇拝

インティは、創造神として畏敬されるだけでなく、人々の救済者としても崇拝されていました。農作物の育成、病気の治療、人々の願いを叶える力を持つと信じられ、多くの人々がインティに助けを求めました。

一方、月の女神ママ・キリャは女性たちの間で熱心な信仰を集めていました。女性たちはママ・キリャを信仰するグループを形成し、彼女たちの悩みや願いを聞き、庇護してくれる存在として崇めました。

インティ・ライミ祭り

太陽神インティを称える「インティ・ライミ祭り」は、インカ帝国の首都であったクスコで毎年開催される重要な祭りです。この祭りには毎年多くの観光客が訪れ、インカ帝国の文化に触れる機会となっています。

関連項目

アルゼンチンの国旗
ウルグアイの国旗
ペルーの国旗
五月の太陽

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