インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人

インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人：設立から清算へ至る軌跡

インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人は、東京都港区を拠点とする投資法人として2014年に設立されました。当初は東京証券取引所に上場するJ-REIT（不動産投資信託証券）として、国内の大都市圏に位置する大型オフィスビルへの投資を主な事業内容としていました。

その設立母体であるインベスコ・グローバル・リアルエステート・アジアパシフィック・インク（米国アトランタ所在）の支援を受け、着実にポートフォリオを拡大。上場廃止時点では、恵比寿プライムスクエア、CSタワー、クイーンズスクエア横浜など、全国各地に18物件もの大型オフィスビルを保有していました。これらの物件取得総額は、実に2258億7100万円にものぼります。

しかし、2021年、同法人の経営は大きな転換期を迎えます。スターウッド・キャピタル・グループによるTOB（株式公開買付）の発表です。買付価格は、当初は1口当たり2万円と、当時の一口当たり純資産価値（NAV）を上回るプレミアム価格が提示されました。しかし、このTOBは、応募投資口数が下限に達せず、失敗に終わります。

その後、インベスコ自身によるTOBが実施され、こちらは成立。インベスコは議決権の65.07％を獲得し、2021年11月には同法人は上場廃止となりました。さらに、少数投資家のスクイーズアウトを実施し、企業統治構造を再編しました。

上場廃止後、インベスコは保有していた全ての不動産信託受益権をガウ・キャピタル・パートナーズに売却。2022年3月までに譲渡が完了し、事実上、インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人の不動産事業は幕を閉じました。現在、残務処理と債務返済を進めており、2023年1月26日期限の第3回無担保投資法人債の償還後、速やかに解散・清算される予定です。

主要ポートフォリオ物件（取得価格）

以下に、上場廃止時点における主要なポートフォリオ物件とその取得価格を示します。

恵比寿プライムスクエア（東京都渋谷区）：250億1400万円
CSタワー（東京都台東区）：139億6900万円
クイーンズスクエア横浜（神奈川県横浜市西区）：160億3400万円
名古屋プライムセントラルタワー（愛知県名古屋市西区）：146億万円
東京日産西五反田ビル（東京都品川区）：67億万円
オルトヨコハマ（神奈川県横浜市神奈川区）：130億万円
西新宿KFビル（東京都新宿区）：66億万円
品川シーサイドイーストタワー（東京都品川区）：250億6600万円
アキバCOビル（東京都千代田区）：80億7800万円
サンタワーズセンタービル（東京都世田谷区）：66億1500万円
博多プライムイースト（福岡県福岡市博多区）：45億万円
錦糸町プライムタワー（東京都江東区）：151億4500万円
アクア堂島東館（大阪府大阪市北区）：19億1000万円
西新宿プライムスクエア（東京都新宿区）：348億3500万円
麹町クリスタルシティ（東京都千代田区）：64億500万円
プライムタワー新浦安（千葉県浦安市）：118億6000万円
テクノウェイブ100（神奈川県横浜市神奈川区）：87億1000万円
音羽プライムビル（東京都文京区）：68億3000万円

沿革

2014年2月27日：投資法人設立
2014年3月20日：投信法第187条に基づく登録
2014年6月5日：東京証券取引所上場
2021年11月9日：上場廃止

インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人は、短期間ながらも日本の不動産投資市場において一定の役割を果たしたと言えるでしょう。その歴史と経緯は、今後の不動産投資戦略を考える上で貴重な事例となるに違いありません。

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