ウエステルダム

ウエステルダムについて

ウエステルダム（Westerdam）は、ホーランド・アメリカラインが所有するビスタ級クルーズ船です。同社が運航する3隻目のビスタ級クルーズ船であり、姉妹船にはオーステルダム、ザイデルダム、ノールダムがあります。これらの船名は、東西南北を意味するオランダ語に由来しており、ウエステルダムは「西」を意味します。

現在運航中の船体は3代目にあたり、本稿では特に断りのない限り、現行の船体について解説します。

命名と仕様、内装

2004年4月25日、イタリアのヴェネツィアで、オランダの女優レネ・ソーテンダイクによって命名されました。ウエステルダムは、他のビスタ級クルーズ船と同様に、ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンを組み合わせたCODAG方式と、精密な操舵を可能にするアジポッドを採用しています。これにより、高い推進力と操縦性を実現しています。

船内の美術品コレクションは、「新世界におけるオランダの遺産」をテーマとしており、歴史的な絵画や彫刻が数多く展示されています。特に、ヘンリー・ハドソンが大西洋横断で使用したハーフ・ムーン号を描いた絵画や、著名な彫刻家の作品は必見です。現代美術としては、アンディ・ウォーホルの肖像画や、アリゾナ州セドナの美術家、スザンナ・ホルトの彫刻などが展示されています。

2007年4月には改装が行われ、客室が34室追加されたほか、複数の公共スペースも改修されました。これにより、より快適なクルーズ体験が提供されるようになりました。

日本への寄港

ウエステルダムは、2018年10月に横浜港大さん橋国際客船ターミナルに初めて来航しました。その後、日本各地の港湾に寄港しており、多くの日本人観光客にも親しまれています。

事件と事故

過去にはいくつかの事件や事故も発生しています。

2011年5月10日：カナダのブリティッシュコロンビア州、クルーネ国立公園南方のヤクタット湾を航行中、流氷に衝突し、喫水線から4.6メートル下の船体が損傷しました。幸いにも、乗客・乗員に怪我はありませんでした。
2014年6月28日：シアトル港を出港した直後、ボイラー室から火災が発生しました。当時、乗客2,086人と乗員798人が乗船していましたが、負傷者は発生しませんでした。ウエステルダムは直ちにシアトルに帰港し、米国沿岸警備隊の検査を受けました。
* 2020年2月：香港に寄港した際、新型コロナウイルス感染症の流行を理由に、フィリピン、日本、タイへの入港を拒否されました。さらに、台湾や米領グアムも入港を拒否し、最終的にカンボジアのシアヌークビル港に到着しました。

過去のウエステルダム

ウエステルダムという名前を持つ船は、過去に2隻存在します。

初代ウエステルダム

初代ウエステルダムは、1946年から1965年までホーランド・アメリカラインで運航された貨客船です。第二次世界大戦中に建造され、143人分のファーストクラス客室を備えていました。この船は、非常に珍しい経歴を持ち、建造中に3度も沈没しています。

1. 1942年8月27日：ロッテルダムの造船所で連合軍の爆撃を受け、沈没。
2. 1944年9月：ドイツ軍に引き上げられるも、オランダの抵抗勢力によって再び沈没。
3. 1945年1月17日：2度目の引き上げ後、抵抗勢力によって3度目の沈没。

度重なる沈没にも関わらず、無事に完成し、大西洋横断航路でロッテルダムとニューヨークの間を往復しました。1965年2月4日、スペインでスクラップとして売却されました。

2代目ウエステルダム

2代目ウエステルダムは、元々ホーメリック（Homeric）という名前で、イタリアの海運会社ホームラインズによって1986年から運行されていました。1988年にホーランド・アメリカラインが購入し、1989年に改造されました。この改造により、全長が約40メートル延長されています。

13年間にわたり643回のクルーズを実施した後、2002年に姉妹会社であるコスタ・クルーズに譲渡され、コスタ・ヨーロッパ（Costa Europa）と改名されました。さらに、2010年4月からはトンプソン・クルーズにリースされ、トンプソン・ドリーム（Thomson Dream）として運航されています。

まとめ

ウエステルダムは、その豪華な設備と歴史を通じて、多くの人々に愛されてきました。過去の様々な出来事を乗り越え、これからも多くの人々を魅了し続けるでしょう。

外部リンク

公式ウェブサイト

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