ウォーリー・バー

ウォーリー・バー：アニメからゲームまで、多彩な才能を遺憾なく発揮した音響監督・声優

ウォーリー・バー（1924年6月2日 - 2017年7月9日）は、アメリカ合衆国を代表する音響監督、そして声優として知られる人物です。イリノイ州シカゴ出身の彼は、軍務経験の後、ノースウェスタン大学で学びました。その後、シカゴでラジオアナウンサーとしてキャリアをスタートさせます。

彼の経歴は多岐に渡ります。ケンタッキー州フォート・ノックスのアーマースクールで戦車砲術インストラクターを務めていた時期には、CBS系列局で放送されていた陸軍タレントショーにもレギュラー出演していました。アーマースクール退職後は、テレビCMディレクターとして活躍した後、カリフォルニア州ロサンゼルスに移住し、音響監督としての道を歩み始めます。

ロサンゼルスでは自身の録音スタジオ「ウォーリー・バー・レコーディング」を経営していましたが、2001年に売却しています。映画俳優組合、テレビラジオ芸能人連盟、全米監督協会会員として、業界における彼の地位と貢献をうかがい知ることができます。

彼のキャリアにおける最も顕著な業績は、数多くのアニメーション作品への参加でしょう。1970年代から1990年代にかけて、『ドリトル先生航海記』（共同プロデューサー）、『アダムスのお化け一家』（ダイアログ・ディレクター）、『スーパーフレンズ』（ダイアログ・ディレクター）、『原始恐竜時代』（録音演出）、『おとぼけ探偵団の大冒険』（録音演出）、『トランスフォーマー』シリーズ、『G.I.ジョー』シリーズなど、数々の有名タイトルで音響監督として活躍しました。その仕事ぶりは、録音演出、ダイアログ・ディレクター、音声演出など、多様な役割を担っていたことからも分かります。

さらに、彼はアニメ作品への出演も積極的に行っていました。『スーパーフレンズ』ではアトム役、『スパイダーマン』ではサンドマン役、『トランスフォーマー』シリーズでは複数のキャラクターを演じ分けています。その卓越した演技力は、単なる脇役ではなく、作品に深みを与える重要な要素となっていました。

アニメーション作品以外にも、劇場アニメ、OVA、ゲーム作品など、幅広い分野でその才能を発揮しています。『トランスフォーマー ザ・ムービー』、『G.I.ジョー ザ・ムービー』といった劇場アニメ作品や、『ジュラシック・パーク』、『プリズナーオブアイス』といったゲーム作品にも携わっています。さらに、『AKIRA』、『北斗の拳』といった日本のアニメ作品にも出演経験があり、国際的な活躍もみせています。

実写映画においても、彼は『モトラマ/5億ドルを狙え!』、『サムバディ・トゥ・ラブ』、『ぼくはゴーディ』など、様々な作品で声優や音響効果、キャスティングに携わり、作品全体に貢献しています。

彼の活動は、単なる音響監督や声優の枠を超えて、プロデューサー、キャスティングディレクター、さらにはナレーターとして、作品制作のあらゆる側面に関わっています。これは、彼が単に技術的なスキルだけでなく、作品全体を俯瞰する能力、そして作品の世界観を深く理解し表現する能力に長けていたことを示唆しています。

ウォーリー・バーは、長年にわたる業界での経験と多彩な才能を通じて、アニメーション、映画、ゲーム業界に多大な貢献を残しました。彼の仕事は、数多くの作品に命を吹き込み、視聴者・プレイヤーに感動を与え続けています。彼の功績は、これからも長く語り継がれていくでしょう。

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