エアロゲル

エアロゲルとは

エアロゲル（aerogel）とは、ゲルの中の溶媒を超臨界乾燥によってガスに置き換えた多孔質の物質で、特にシリカエアロゲルがよく知られています。シリカエアロゲルは、非常に低い密度と優れた断熱特性を持ち、その見た目から「凍った煙」や「固体の煙」といった別名でも呼ばれています。

歴史

エアロゲルの発明は1931年にスティーブン・キスラーによって行われました。彼は、物質が収縮せずにゲル中の水分を酸化シリコンなどに置き換える課題に取り組み、成功を収めました。その際、様々な材料が報告され、後にはカーボンエアロゲルなども発明されました。

シリカエアロゲルの特性

シリカエアロゲルは主に二酸化ケイ素を主成分とし、90-98%の空気から構成されています。密度は一般に10-150 mg/cm³ですが、特に1.9 mg/cm³という記録的な低密度のものも存在します。この素材は、軽量であることに加え、非常に高い断熱性能（熱伝導率は約0.017 W/(m·K)）を発揮します。

内部は細かい網目状の構造を有しており、平均的な細孔のサイズは100 nm未満で、三次元的な多孔質構造を形成しています。この構造により、シリカエアロゲルは対流や伝導、放射による熱伝達を実質的に抑えることができ、結果的に優れた断熱性を保持します。また、適切な化学処理により疎水性を持たせることが可能で、優れた乾燥剤として使用されることもあります。

カーボンエアロゲル

カーボンエアロゲルはナノサイズの分子からなる軽量多孔質材料で、気孔率は50%以上、比表面積は400-1000 m²/gに及びます。そのため、スーパーキャパシタなどに利用されることが多いです。また、カーボンナノチューブを用いたエアロゲルは高い導電性を持っています。

アルミナエアロゲル

アルミナエアロゲルは、特に金属を添加することで触媒用途に利用されています。ガドリニウムやテルビウムがドープされたエアロゲルは、超高速粒子の捕捉に利用されます。

応用例

エアロゲルはその特性を活かし、様々な分野での応用が期待されています。例えば、建築物の断熱材としての利用や、化学吸着剤、触媒としての研究開発が進められています。また、NASAではスターダスト探査機において宇宙塵の捕捉装置としてエアロゲルを成功裏に使用しました。さらに、汎用的な材料としてハイブリッド化することで、機械的特性を強化する取り組みも行われています。

まとめ

エアロゲルは、軽量でありながら強度があり、優れた断熱性を持つ材料であることから、今後の材料科学の中で重要な役割を果たすことが期待されているのです。

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