エラート

エラートレコード：フランス音楽の輝きを世界へ

エラートレコード（Erato Records）は、1953年、フランスで「Disques Erato」として誕生しました。ギリシャ神話の女神、エラトーの名を冠したこのレーベルは、当初からフランスの音楽文化に焦点を当て、特にバロック[[音楽]]を中心とした質の高い録音を追求することで知られています。

設立当初より、フランス人音楽家の育成と作品の発掘に力を注ぎました。芸術監督ミシェル・ガルサンの慧眼によって、モーリス・アンドレ、ジャン＝フランソワ・パイヤール、ジャン＝ピエール・ランパルといった、後に世界的な名声を博する音楽家たちが、エラートから数々の名盤を発表するようになりました。彼らに加え、スイスのミシェル・コルボやシャルル・デュトワ、イタリアのクラウディオ・シモーネといった国際的な巨匠たちもエラートに録音を残し、レーベルの国際的な地位向上に貢献しました。

1960年代には、フランスを代表するバロック[[音楽]]レーベルとして確固たる地位を築き上げました。特に、ジャン＝フランソワ・パイヤールによるパッヘルベルのカノンやバッハのブランデンブルク協奏曲、管弦楽組曲の世界初CD化は、音楽史に大きな足跡を残す出来事となりました。 他にも、スコット・ロスによるスカルラッティのソナタ全集、マリー＝クレール・アランによるバッハのオルガン作品全集など、歴史的な価値を持つ録音は枚挙に暇がありません。ミシェル・コルボによるフォーレのレクイエム、ジャン＝ピエール・ランパルによるモーツァルトのフルート協奏曲、そしてジャン・ユボーによるフォーレのピアノ作品集や室内楽作品集なども、エラートの輝かしい遺産として高く評価されています。

しかし、1980年代以降は経営体制の変化や音楽業界のトレンドの変化に伴い、レーベルの方向性は徐々に変化していきます。創設者であるフィリップ・ルーリーの引退後、ラジオ・フランスとの共同制作が増えるなど、新たな試みが展開される一方で、従来から協力関係にあった多くの演奏家たちが離れていくことになります。1992年には、ワーナー・ミュージック・グループ傘下となり、ウィリアム・クリスティやヴァディム・レーピン、エレーヌ・グリモーといった新たな才能も迎え入れました。ワールドミュージックを中心としたサブレーベル「Detour」を設立するなど、活動範囲を広げようとする試みも見られました。

しかし、2001年にはパリからロンドンに移転、事実上休眠状態に陥ります。これはワーナー・ミュージック・グループの戦略的な再編によるものでした。

その後、2013年、ワーナーがEMIクラシックを買収したことにより、ヴァージン・クラシックとの統合を経て、エラートレコードは復活を遂げます。長い歴史と伝統を継承しつつ、現代の音楽シーンにも対応した新たな活動を展開していくことが期待されています。

エラートレコードは、単なるレコードレーベルという枠を超え、フランスの音楽文化、ひいては世界音楽史に多大な貢献を果たした存在と言えるでしょう。多くの名演が後世に残されたエラートの遺産は、これからも音楽愛好家たちを魅了し続けることでしょう。 フランス・バロック[[音楽]]を代表する作曲家であるリュリ、マルカントワーヌ・シャルパンティエ、ラモーといった作曲家の作品群も、ウィリアム・クリスティやマルク・ミンコフスキらによって鮮やかに蘇らせられました。エラートレコードの活動は、単なる音楽の記録にとどまらず、音楽文化の継承と発展に大きく貢献した歴史と言えるのです。

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