オラクルマスター

オラクルマスター (ORACLE MASTER)

オラクルマスター（ORACLE MASTER）は、日本オラクル株式会社が提供する、同社の主力製品であるOracle Databaseに関する技術者を対象とした認定資格制度です。情報処理分野のベンダー資格の中でも特に認知度が高く、関連する学習教材も数多く出版されています。

この資格は、Oracle Databaseの管理、運用、および関連技術に関する専門知識とスキルを証明することを目的としています。取得には、対応する認定試験への合格が必要です。試験は多くの場合、コンピュータ形式で行われ、その場で合否結果を確認することができます（Platinumレベルの実技試験を除く）。出題内容は、データベースの日常的な管理業務から、Oracle Databaseを操作するための標準的な問い合わせ言語であるSQL、さらにはアプリケーション開発に用いられるPL/SQL|PL_SQLといった分野に及びます。受験者は自身のキャリア目標に基づき、データベース管理者（DBA）、アプリケーション開発者などの専門分野を選択することが可能です。合格した試験の組み合わせによって、得られる認定が異なります。

資格レベル

オラクルマスターには、技術レベルに応じて4段階の難易度が設けられています。難易度の低い順に、Bronze、Silver、Gold、そして最難関のPlatinumがあります。Silver以上のレベルで認定されると、国際的に通用するOracle Certification Program（OCP）による認定が自動的に付与されます。このため、Silver以上のオラクルマスター認定は、日本国内だけでなく世界中で通用する専門スキルの証明として認識されます。

資格体系の変遷

オラクルマスターの資格体系は、技術の進化や市場のニーズに合わせて何度か改定されてきました。特に大きな変革がいくつかあります。

2019年以降のORACLE MASTER 2019

2019年から2020年にかけて導入された「ORACLE MASTER 2019」は、以前の体系からの重要な変更点を含んでいます。最大の変更は、特定の製品バージョン（例：Oracle Database 12c, 11gなど）に紐づいていた資格体系が見直されたことです。これにより、試験内容は製品バージョンに依存しない、より普遍的なスキル評価へと移行しました。

現在の主要な認定区分は以下の通りです。

データベース運用／管理:
ORACLE MASTER Gold DBA 2019
ORACLE MASTER Silver DBA 2019
ORACLE MASTER Bronze DBA 2019
SQL:
ORACLE MASTER Silver SQL 2019（SQL知識に特化した新しい区分）

ORACLE MASTER 2019体系では、従来の階層構造（Bronze → Silver → Gold → Platinum）は概ね維持されていますが、Bronze DBAの認定を経ずに直接Silver DBA試験に挑戦できるようになるなど、取得パスの柔軟性が増しました。また、Gold DBA認定の取得に必須とされていた集合研修の受講が不要になった点も特徴です。

2019年以前のバージョン別体系

ORACLE MASTER 2019が導入される以前は、認定資格はOracle Databaseの特定の製品バージョンに対応していました。例えば、「ORACLE MASTER Oracle Database 12c」のように、バージョンごとにBronze、Silver (OCA)、Gold (OCP)、Platinum (OCM) といったレベル別資格が存在しました。これには、12c, 11g, 10g, 9iなどのバージョンが含まれます。

9i時代の体系には、現行のBronzeに相当するレベルの資格は存在せず、Silver、Gold、Platinumの3段階が基本でした。また、旧制度のSilverに相当する位置付けとして、「Silver fellow」という名称の認定がありました。これは厳密には資格ではなく「合格証」が発行されるもので、Silverレベルよりも基礎的な知識を問う位置付けでした。

アプリケーション開発者やアプリケーションサーバー管理者向けの資格も、特定のバージョン（例：Oracle9i/10g Application Server）に対応したSilver (OCA) や Gold (OCP)、あるいはPL/SQL|PL_SQL Developer向けの資格などが提供されていました。

2003年10月以前の旧制度

さらに遡ると、2003年10月の大きな制度改定以前は、よりシンプルな体系でした。この旧制度では、主にデータベース管理者向けのSilver、Gold、Platinumの3段階のレベルが中心でした。この旧制度における各レベルは、改定後の新体系において名称が変更され、旧SilverがSilver Fellow、旧GoldがSilver、旧PlatinumがGoldというように位置づけが変わりました。また、アプリケーション開発者向けの「Oracle Certified Developer (OCP)」といった資格も存在しました。

このように、オラクルマスターは時代の変化に対応し、常にその体系や試験内容を更新しながら、Oracle製品に関する技術者の育成とスキル評価に貢献しています。

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