キジオライチョウ

キジオライチョウ（雉子尾雷鳥）

キジオライチョウ（学名：Centrocercus urophasianus）は、キジ目ライチョウ科に分類される鳥類の一種です。分類によってはキジ科ライチョウ亜科とされることもあります。その名前の通り、オスの尾羽が日本のキジの尾羽に似ていることに由来しています。

生息地

この鳥は、主に北アメリカ大陸の中西部に広がる乾燥した草原地帯に生息しています。

形態

キジオライチョウは雌雄によって体の大きさが大きく異なります。オスは全長が約80cmにも達するのに対し、メスは約55cmとかなり小型です。

特にオスの姿は特徴的です。和名の由来となった先端の尖った細長い尾羽に加え、頭部には毛髪のような冠羽を持ちます。また、胸部には求愛の際に大きく膨らませることができる、肉質の黄色の空気袋を備えています。この空気袋は、繁殖期のディスプレイにおいて重要な役割を果たします。

生態

キジオライチョウは草原を主な生息環境としますが、その中でもセージ（ヨモギの仲間）が密生した藪を特に好んで利用します。このセージへの依存度が高いため、英名もセージグース（Sage Grouse）と呼ばれています。

食性は雑食で、主にセージの葉や新芽を食べますが、昆虫類なども捕食します。特に幼鳥や繁殖期のメスにとって、昆虫は重要な栄養源となります。

繁殖期は例年3月から5月にかけて訪れます。この時期、オスたちは数百羽が集まる「レック（Lek）」と呼ばれる集団求愛場を形成します。レックでは、オスたちがメスに対して激しい求愛ディスプレイを繰り広げます。

最も印象的なのは、オスの胸にある空気袋を大きく膨らませたりしぼませたりして特有の音を立てる行動です。同時に、尾羽を大きく扇状に広げて立て、翼を広げて左右に揺らすなど、様々な視覚的なアピールを行います。これらの行動は、メスを引き付け、優れたオスであることを示そうとするものです。

メスはレックで相手を選んだ後、セージの茂みの下の地面に浅い窪みを作り、巣とします。一度に7個から13個の卵を産み、およそ25日から27日間かけて抱卵します。

人間との関わり

キジオライチョウは、そのユニークな生態や姿から関心を集める鳥ですが、近年、生息地の状況が変化しています。生息地である草原の農地化や開発、エネルギー資源採掘の拡大などが進んだ結果、彼らの暮らす環境が失われつつあります。これにより、キジオライチョウの個体数は残念ながら減少傾向にあり、保全上の懸念が高まっています。

参考文献

* 『世界の動物｜分類と飼育　キジ目』、財団法人東京動物園協会、1987年

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