キャリー・フクナガ

キャリー・ジョージ・フクナガについて

キャリー・ジョージ・フクナガ（Cary Joji Fukunaga）は1977年7月10日にアメリカのカリフォルニア州オークランドで生まれた、映画監督、脚本家、作家、撮影技師です。彼の作品は多様な文化的背景を反映し、批評家たちから高い評価を受けています。

生い立ちと教育

フクナガは、日系アメリカ人の父とスウェーデン系及びドイツ系、イギリス系の血を引く母を持つハーフとして育ちました。父は第二次世界大戦中の強制収容所で生まれ、母方の祖父は戦闘機パイロットとして戦いました。彼はカリフォルニア大学サンタクルーズ校で歴史の文学士号を取得後、さらにグルノーブル政治学院で学びました。また、ニューヨーク大学の映画プログラム在学中に短編映画『ヴィクトリア・パラ・チーノ』を制作し、注目を集めました。

フクナガは多言語話者であり、英語、フランス語、スペイン語を話します。彼の幼少期は多文化に触れる機会が多く、特にメキシコ系アメリカ人の義理の父の影響でスペイン語を学びました。また、2001年には北海道に6か月滞在し、スノーボードを楽しみながら英語とフランス語を教えていました。

映画キャリア

フクナガのキャリアは、短編映画『ヴィクトリア・パラ・チーノ』から始まり、これは実際の事件を基に作られたもので、サンダンス映画祭で上映され、学生アカデミー賞を受賞しました。その後、2009年に長編映画『闇の列車、光の旅』で正式に映画デビューを果たし、移民の過酷な現実を描いた作品として評価されました。

2011年には、シャーロット・ブロンテの名作『ジェーン・エア』を映画化し、米国と日本で公開されました。この映画は彼自身の母親の影響を受けたものであり、昔一緒に見た1943年版の『ジェーン・エア』を意識して制作されています。

フクナガはまた、HBOの人気ドラマ『TRUE DETECTIVE/二人の刑事』でシーズン1の監督を務め、その作品はエミー賞最優秀監督賞を受賞しました。続いて、アフリカの内戦を扱った『ビースト・オブ・ノー・ネーション』を映画化し、この作品も高い評価を得ました。

影響を受けた監督

フクナガは多くの監督に影響を受けており、特に日本の今村昌平監督や是枝裕和監督からの影響を強調しています。彼は、今村監督の撮影技法やリアリズム、是枝監督のナチュラリズムを評価し、具体的な作品名を挙げています。また、彼の作品にはスティーヴン・スピルバーグやテレンス・マリックの影響も見られます。

パーソナルライフ

2010年代に入ってからは、フクナガの名はさらに広まり、多くのプロジェクトに参加しています。2020年には、『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の監督を務めており、彼のキャリアの中で大きな注目を集めました。

彼の作品や監督としてのアプローチは、常に個々のストーリーを掘り下げ、人間の本質を探求することに重点を置いています。現在も新たな挑戦を続けている彼の今後の活動に期待が寄せられています。

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