ククルス・ドアンの島

ククルス・ドアンの島

「ククルス・ドアンの島」は、1979年7月14日に放送されたテレビアニメ『機動戦士ガンダム』第15話のサブタイトルです。このエピソードは、シリーズの劇場版3部作や漫画版『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』には含まれていないため、さまざまな意味で特異な位置づけを持っています。また、アメリカへ向けたテレビシリーズの輸出時にも、このエピソードは丸ごとカットされたため、視聴者にとってはなじみの薄い内容かもしれません。

概要

このエピソードの脚本は荒木芳久が手掛け、絵コンテは貞光紳也、演出は斧谷稔が担当しました。一方で、安彦良和はキャラクターデザインには関わったものの、他の制作に関与していなかったため、かなり独立した作品として評価されています。視覚的に見れば、作画の質に関してファンの間では「作画崩壊」として語られることも多いですが、そのストーリーの深さから「神回」と称賛する声も多いです。安彦もこのエピソードに関しては「捨て回」といいつつも「いい話」と認めています。

エピソード内の物語は、一般的に「島編」と呼ばれる新たな視点からの展開が特徴的で、これは後の作品（特にテレビアニメ『ふしぎの海のナディア』など）にも影響を与えました。2020年には、作画に関するネタで制作された「作画崩壊ガンダム」がSNSで話題になり、そのデザインは映画版においてドアン専用ザクに影響を及ぼしました。

あらすじ

物語は、ガンダムで訓練中のアムロが、地球連邦空軍からの緊急信号を受け取り、ホワイトベースから離脱するところから始まります。彼は近くの島に不時着した戦闘機のパイロットを助けることになりますが、そこに現れたのは敵意を持つ子供たちと、ドアンというジオン軍の脱走兵です。アムロは戦闘機でドアンのザクに挑むものの、撃墜されてしまいます。

意識を取り戻したアムロは、ドアンと子供たちの居場所である丸太小屋にいます。ドアンは追っ手を恐れながら子供たちを育てる一方で、アムロの帰還とともに島の危機が迫ります。アムロもジオン軍が近づいていることを知り、再び戦闘に臨むのですが、ドアンはアムロに戦いの代わりに彼のザクとの格闘戦を選ばせます。そこでドアンは、自らの罪深い過去を告白し、アムロは彼を救うために彼のザクを海に放り投げる選択をします。

島の設定

この島は、ククルス・ドアンが孤児たちと共に暮らす場所で、戦争で親を失った子供たちとの間には複雑な絆が存在します。テレビ版ではロランという少女を含む子供たちが描かれ、映画版ではその数が増えています。描写された島は、地理的には太平洋に存在することから、ホワイトベースが北アメリカ大陸からアジアに横断する途中の設定ですが、映画版では大西洋にあるカナリア諸島の一部として位置付けられました。

結論

「ククルス・ドアンの島」は、ただのエピソードに留まらず、ガンダムシリーズ全体に影響を与え、文化的な評価を得ることとなった作品です。安彦良和は後年、リアリティを追求した設定を採用することで、このエピソードに動的な価値を与えました。物語やキャラクターへの考察は、今なお新しい発見をもたらしてくれることでしょう。

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