クサウラベニタケ

クサウラベニタケ（臭裏紅茸）

クサウラベニタケは、イッポンシメジ科に属するキノコで、毒性があり誤食の危険性が高いことで知られています。このキノコは北半球の広範囲に分布し、特に日本では盛夏から晩秋にかけて見られます。標準的な学名は長いことEntoloma rhodopoliumとされていましたが、近年の研究により異なる種が混在していることが明らかになりました。

生態と分布

クサウラベニタケは、広葉樹が豊富な森林や雑木林に生育します。通常は孤立した形で見つかりますが、まれに束生することもあります。一般的にはコナラやクヌギなどの樹木の近くで発見されることが多く、主に秋がシーズンです。このキノコは外生菌根菌として、樹木と共生することもある一方で、腐生的に育つこともあります。

形態的特徴

このキノコの傘は、直径3から8センチメートルの範囲で、最初は鐘形や丸山形から少しずつ開いていきます。湿ったときには褐灰色で、乾燥すると灰白色に変わり、光沢が出ます。傘の縁は波打つことが多く、ひだは密に生えており、若い時期は白色ですが成熟するにつれて淡紅色になります。肉は無味で気味はなく、特有の小麦粉の香りがしますが、青臭い不快臭が混じることがあります。

分類

現在、クサウラベニタケは従来の分類法から見直され、複数の別種が存在することが認識されています。特に日本産のクサウラベニタケは、コガタクサウラベニタケ、クサウラベニタケモドキ、ニセクサウラベニタケとして識別され、それぞれ異なる特徴を持っています。これらの種はいずれもウラベニホテイシメジとは容易に区別されるものの、一部の種には毒性があるため注意が必要です。

毒性に関する知識

このキノコは、日本においてカキシメジやツキヨタケと並び、毒キノコの中でも特に誤食されることが多い種です。外観が食用のシメジ類に似ているため、誤って採取される事例が多々あります。中毒症状は、腹痛、吐き気、下痢などの激しい胃腸障害から始まり、場合によっては神経系にも影響を及ぼすことがあります。最悪の場合、死亡するケースも報告されています。

誤食を避けるための注意

自ら採取したキノコによる中毒事例のほか、道端の販売などで流通しているキノコでも誤食事故が起きています。特に東北地方では、このキノコによる中毒が報告されており、茨城県では特に多く見られます。誤食を避けるには、専門家の知識を参考にすることが重要です。

類似するキノコの見分け方

ウラベニホテイシメジはクサウラベニタケと非常に似ており、見分けが難しいことから、「名人泣かせ」とも呼ばれます。両者は、ひだの色だけでは判別が難しいため、グアヤクチンキや硫酸バニリンを用い、反応の違いを観察することが推奨されています。

まとめ

クサウラベニタケは、その見た目から誤って食べられる危険性が高い毒キノコであり、知識を持って注意深く取り扱う必要があります。体調を崩すことのないよう、採取する際にはくれぐれも慎重になり、正しい情報を持って臨むことが大切です。

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