クラウチングスタート

クラウチングスタート

クラウチングスタート（英語：crouch start）は陸上競技において、400メートル以下の短距離種目で用いられるスタート方法です。名前の通り、「クラウチング」とは屈む姿勢を指します。このスタート方式では、両手を地面に置き、左右の足をスターティングブロックに前後に配置した姿勢でスタートします。対照的に、スタンディングスタートと呼ばれる方法も存在しますが、クラウチングスタートは特に短距離走において重要な役割を果たしています。

姿勢とスタート方法

競技者は「On your marks.」（「位置について」）という合図を受けると、両手の指を地面につけます。この時、足の着く位置はスタートラインから一足分前に置き、その前足の膝を立て、後ろ足の膝は地面に接地します。多くの場合、選手は利き足を前に置くのが一般的です。次に、「Set.」（「用意」）の合図で腰を上げ、静止します。この静止のタイミングを失うと、フライングとみなされてしまいます。400メートル以下の競技では、このクラウチングスタートが公式のスタート方法として規定されています。

スターティングブロックの歴史

スターティングブロックが導入される前、選手たちは各自の足を置くために地面に穴を掘っていました。1919年に発行された『理論実際競技と遊戯』によると、後ろ側の足の穴は前部が斜面状、後部が直角になるように３列目のスパイクが入るくらいの深さが求められたとされています。前側の足の穴はその逆の作りで、二つの穴はレーンの両側に平行になるように配置されました。このようにして、選手たちは自分の身体に合った位置を確保していました。

クラウチングスタートの利点

短距離走では、スタートダッシュが成功するかどうかが競技結果に大きな影響を与えます。クラウチングスタートは、その姿勢により地面との角度を小さく保ち、強い推進力を得ることを可能にします。ただし、その一方で滑りやすくなるリスクも伴います。このため、陸上競技には地面に固定されるスターティングブロックが使用され、滑りを軽減する工夫がされています。

このスタート方式は、地面を押し返す時間を延ばすため、脚を伸ばす力を最大限に利用することができます。しかし、スタートから加速への姿勢変化が大きいため、正し指導のもとでの練習が欠かせません。適切に行わないと、スムーズな姿勢移行ができず、効果的なスタートが実現できません。

競技においては、スターティングブロックに取り付けられたセンサーが時計と連動することで、タイミングを正確に計ることができます。

さまざまな要素が絡み合うクラウチングスタートは、選手のパフォーマンスに重要な役割を果たすため、正しい技術を身につけることが求められます。

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