クラスノヤルスク

クラスノヤルスク：シベリアの心臓部

概要

クラスノヤルスクは、ロシア連邦シベリア中部に位置するエニセイ川沿いの大都市です。ノヴォシビルスク、オムスクに次ぐシベリア第3の都市であり、シベリア連邦管区の中枢都市でもあります。17世紀の要塞建設を起源とし、金の発見やシベリア鉄道の開通によって発展を遂げ、ソ連時代には重工業の中心地として大きな役割を果たしました。現在も、豊かな自然と歴史的建造物、活気ある都市生活が共存する魅力的な都市です。

歴史

1628年、ロシア帝国の辺境防衛拠点として建設されたクラスノヤルスクは、「赤い岸壁」を意味する「クラースヌイ・ヤール」として誕生しました。当初は小さな要塞でしたが、エニセイ川の水運と、18世紀後半からの郵便道路の整備によって発展を始めました。19世紀には金の発見、1895年のシベリア鉄道開通により、急速な発展を遂げました。 シベリア鉄道の建設は、クラスノヤルスクの経済と人口の増加に大きく貢献し、多くの工場や鉄道関連施設が建設されました。

ロシア帝国時代は政治犯の流刑地としても知られ、デカブリストの乱の失敗者も送られました。ソ連時代には、計画経済の下で重工業が発展し、水力発電所や製紙工場などが建設されました。同時に、スターリン体制下では強制収容所（グラグ）も存在し、多くの囚人が過酷な労働を強いられました。第二次世界大戦中には、ヨーロッパからの工場疎開も受け入れ、重工業はさらに拡大しました。戦後も、アルミニウム工場や冶金工場などの大型工場が建設され、ソ連有数の工業都市となりました。冷戦期には、アメリカ合衆国からABM条約違反として指摘された大型レーダー基地も設置されました。

ソ連崩壊後は、多くの工場が民営化されましたが、その過程で経済的な混乱や貧富の格差が生じました。しかし、近年は都市の近代化が進み、歴史的建造物の修復や街の整備が進められています。1997年には、日露首脳会談がクラスノヤルスクで行われ、「クラスノヤルスク合意」が結ばれました。2019年には冬季ユニバーシアードも開催されました。

地理と気候

クラスノヤルスクは、エニセイ川が市域を貫流する立地です。市域の南西は丘陵地帯、北東は平坦な地形となっています。エニセイ川には多くの島があり、観光地として整備されている場所もあります。気候は大陸性で、冬は非常に寒く、夏は比較的温暖です。年間の寒暖差が大きく、気温の極端な変化が見られます。

文化と建築

クラスノヤルスクには、18世紀から19世紀に建てられた歴史的な教会や聖堂が多く残っています。生神女庇護聖堂や至聖三者大聖堂などは、修復を経て現在もその姿を保っています。ソ連時代には放置されていた聖パラスケバ聖堂は、ペレストロイカ後に修復され、エニセイ教区に返還されました。この聖堂は10ルーブル紙幣にも描かれています。

また、シベリア鉄道のクラスノヤルスク橋は、19世紀末に建設された世界最長級の鉄橋であり、世界遺産の暫定リストにも登録されています。 20世紀初頭に建てられた商人ニコライ・ガダロフの邸宅や、古代エジプトの神殿を模したクラスノヤルスク地方博物館なども見どころです。市内には、2階建ての木造家屋が多く残されており、伝統的なロシア農村の建築様式を感じることができます。

教育と研究

クラスノヤルスクは、シベリア有数の教育都市であり、多くの高等教育機関が集中しています。シベリア連邦大学をはじめ、複数の大学や研究機関があり、「アカデムゴロドク」と呼ばれる研究開発拠点もあります。

交通

クラスノヤルスクには、シベリア鉄道が通っており、鉄道交通の要衝となっています。また、イェメリャノヴォ空港は国際線も就航する重要な空港です。市内には市電が運行されており、地下鉄の建設も計画されています。

著名な出身者

クラスノヤルスクからは、政治家、画家、歌手、スポーツ選手など、多くの著名人が輩出されています。

姉妹都市

クラスノヤルスクは、イタリアのクレモナ、中国のハルビン、黒河市など、世界各地の都市と姉妹都市提携を結んでいます。


今後の課題

ソ連崩壊後の経済的な課題や、人口減少、環境問題など、クラスノヤルスクは依然として多くの課題を抱えています。しかし、歴史的遺産と豊かな自然環境を活かした発展、国際交流の促進など、今後の発展が期待されています。

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