クレディ・スイス

クレディ・スイス・グループAG

クレディ・スイス・グループAG（Credit Suisse Group AG）は、スイス、チューリッヒを本社とする、国際的な投資銀行および金融サービスの大手企業です。世界の主要金融センターにオフィスを構え、広範囲にわたる金融サービスを提供しており、特に投資銀行業務やプライベートバンキング、資産運用で知られています。金融安定理事会においては、システム上重要な銀行と見なされており、その信頼性が評価されています。

歴史的背景

クレディ・スイスは1856年に設立され、当初はスイスの鉄道システムに必要な資金を調達することを目的としていました。古くからスイスの電力網やヨーロッパの交通網に対して資金融資を行い、経済発展に寄与してきました。1900年代に入り、同国の中産階級の成長と競合の影響を受け、リテールバンキングに事業をシフトしていきました。

1978年にファースト・ボストンと提携し、1988年にはその経営権を取得。2000年代には、傘下に様々な金融機関を持つ買収を進め、業界での地位を確立していきました。

近年の課題

クレディ・スイスは、リーマンショック以降、経営の厳しさを経験し、投資事業の規模縮小やレイオフを実施しました。特に、2008年から2012年にかけての租税回避に関する国際調査では、同社が有罪となり、多額の罰金を支払いました。2021年にはアルケゴス・キャピタル・マネジメントの運用失敗によって巨額の損失を計上しました。

2023年にアメリカの銀行が相次いで倒産する事態を受け、市場の信頼が揺らぎ、さらにクレディ・スイスの株価が急落する事態となりました。結果的に、スイス国立銀行の支援が発表されたものの、銀行業界全体の信用不安が拭えない中、2023年3月19日にはUBSによって破格の価格で救済買収されることとなりました。これに伴い、普通株式の交換とAT1債の無価値化の決定が下され、世界的に注目を集めることとなりました。

日本での展開

クレディ・スイスは、日本市場にも早い段階から参入しており、戦後から国債引受業務を展開してきました。プライベートバンキング事業も2009年に開始し、2012年にはHSBCの日本法人を買収することで事業を拡大しました。現在、日本におけるプライベート・バンキングでは運用資産のハードルが高く、超富裕層向けのサービスを提供しています。

結論

クレディ・スイスは、豊かで長い歴史を持つ金融機関でありながら、近年の金融危機や内部問題に苦しんでいます。2019年の幹部の不正行為に関するスキャンダルや、2022年に起きた情報流出事件もその一部です。一方で、近年の競合と市場の動向にどう対応していくかが、今後の同社にとっての課題といえるでしょう。UBSによる救済により新たなステージを迎えたクレディ・スイスが、今後どのように再構築されていくのか注目されます。

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